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「よぉ、カネキ。お互い大学卒業おめでとさん」
「やぁ、ヒデ。就職先見つけれなくてご愁傷様」
「言うなよっ。それだけは言うなよっ……」
「去年の春頃、4年になったばっかの時にCCGに就職決まったって言ってなかったっけ?」
「あー、それがよぉー。
上の人に気に入られて推薦してくれることになってたんだけど、近頃の喰種の活動沈静化とかで採用人数を削ったらしいんだよ。
おかげで8月に就職取り消しになっちまってさー」
「へぇ、そういうことだったんだ」
「知ってるか? 今年に入ってからだと、東京都内の喰種による捕食事件はゼロだぜ。
そりゃ採用人数も渋るわなぁ」
「……い、いいことじゃないか」
「そりゃそうだけどよー。丸手さんにも謝られたけど、それで就職なくしたのはキツいぜ。
おかげで就職活動遅れて結局見つかんなかったし……」
「それならちょうど良かった。
ねぇ、ヒデ。喫茶店業務に興味ないかい?」
「就職先紹介してくれんのか!? いや、この際はバイト先でも構わな…………ん? オイ、カネキ?」
「何さ?」
「何で左手の薬指に指輪つけてんの?」
「あーっと……まぁ、今日呼び出したのは、それを含めて話したいことがあったわけで…………ねぇ、ヒデ。
実は僕、喰種になっちゃってさ」
「知ってた。
ンなこといーからさっさと指輪はどういうことか教えろや、コラ」
「えっ?」
━━━━━篠原幸紀━━━━━
「19区を完塞。これで1区から19区までの完塞が終了しました。
残る喰種たちは20区から23区。そして24区にいるだけ…………のはずです」
特等捜査官会議で和修政準特等捜査官が19区完塞の報告を終えた。
本来は特等会議なので準特等である和修政捜査官は参加権はないが、19区の完塞を終えたことの報告と、それ以前に宇井が準特等時代から特等会議に参加権を持っていたので今更だ。
しかし私も含めてだが、19区の完塞という朗報を聞いても出席者の顔色が優れない。
「ご苦労、和修準特等…………と言いたいところだが、今回も結局アオギリは出てこなかったか。
いや、19区の完塞自体は喜ばしい。よくやってくれた」
「ハッ」
「となると次は20区だが、篠原特等。20区の様子は相変わらずかね?」
「はい。喰種の影も形も見当たりません。
ここ1年以上、喰種による捕食死亡者もいなければ喰種に遭遇した人間もいないことから、やはり20区にも喰種はいないのではないかと……」
「……フム、やはりか。喰種たちはいったいどこに消えたのやら。
昨日、コクリア付近に怪しい人影が出没したとの報告があったので、それが喰種なら何を企んでいるのかわかったものではないがな」
出席者の顔色が優れない理由がこれだ。
喰種たちがいなくなっている。
それだけ見たら喜ばしいことなんだけれど、私たちCCGが駆逐したからいなくなったというわけではなく、2年ほど前から急激に東京都内の喰種による捕食事件や遭遇事件が減っていった。
活動の活発化が警戒されていたアオギリの樹も同様に姿を消しており、ここ最近であった一番大きな喰種駆逐作戦で去年の“ビッグマダム駆逐作戦”ぐらいだ。アレも失敗に終わったがな。
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