ハーメルン
メダロット2 ~カブトVersion~
1.俺の名前…

 メダルのこの身でも感じることができる光を感じた瞬間、すぐに元の闇に戻された。そして、強い衝撃を感じ、段々と意識が薄れていく。
 ———理解した。ああ、これがいわゆる「死」なのか。ぷっつりと、思考が途切れた。

        *——————————————————*

 暗いなぁー? ここ、どこ? ていうか、俺って誰?
 たまに目が覚めると、こんなことを自問自答した。目が覚めると言っても、俺にはそもそも目とか無いけど。
 ここは確かに暗いけど、不思議と居心地の悪さとかは感じない。
 ある日、動きを感じた。ざくざく、ざくざく、土を掘る音。彼には五感機能どころか体すら無いので何も感じないが、何かが起きる兆しを感じていた。
 ざく、かつ!
 スコップが金属物に当たったので、掘る手つきが慎重になる。両手の刷毛とスコップで少しずつ土をどかし、まだ、僅かに泥を被るそれが無事なことを喜ぶ。
 掘った者の手の中には、金色の六角形状のコインのような物がある。コインの表には、何らかの幼虫と思しきがものが描かれていた。



 やれやれ、あの人の気紛れも困ったものだ。こんな貴重な物を、まだ年端もいかぬ子供たちに託すとは。
 あの人は、あの子供に何かを感じると言った。それを突っ込むと、はぐらかすような笑みで「何かは何かじゃ!」と答えた。この返答には呆れてしまったが、どこか憎めない。
 それはひとえに、私があの人を尊敬しているからだろう。
 メダロットを愛し、メダロットに並みならぬ情熱を注ぐあの人。知的で大胆、それでいて、決して驕り高ぶる態度は一切見せず、ときに今日のような突拍子も無いことを思い付き、子供のようにはしゃぐあの人。そして、火急のときには何をすべきか行動できるあの人。
 そんな人だからこそ、私は慕っている。
 今から約三十分後にここを通るとある男性に、二つの物を渡す手はずになっている。
 あの人は少年にこれらの品を託す理由をもう一つ付け加えた、「可能性」と。
 可能性か。果たして、彼らが一体どのような行動を見せてくれるのか。この私も見届けさせてもらおう。



 家に帰ると言い訳する暇もなく、イッキは母親のチドリに叱られて、しばらく二階の自室で反省するよう言い渡された。
 部屋に入ると、イッキを慰めるようにフォックステリアの愛犬「ソルティ」が「くぅーん」と甘えるように鳴いて、イッキの足元にすり寄ってきた。

「慰めてくれるのかい?ソルティ」

 足元にすり寄るソルティの頭を撫でると、ソルティは尻尾を大きくふりふりした。
 イッキは自室に入ったときあることに気がついた。メダロットの頭脳であるメダル、それと、メダロットを操作するメダロッチが無いことに。
 とりあえず組み立ててみたが、肝心のメダルが無いので動くわけも無い。母親にきつく叱られた後でのこの事実、イッキは今日一番の深い嘆きの溜め息を吐いた。
 二時間の間、ソルティをかまうなり漫画を見るなりして、時間を潰した。

「ただいまー!」

 玄関から間延びした男性の声、パパだ。
 イッキのパパの名前はジョウゾウ、歳は今年で三六歳。だが、薄く無精髭をはやした顔と黒縁丸眼鏡のせいで、実年齢以上に見られることがよくある。つい最近では、五十歳と間違われたほどだ。
 十分後、パパが部屋に入ってきた。

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