26.スカートめくりとドタバタ文化祭
夜のニュース。
≪最近世間を賑わせている怪盗レトルトとロボロボ団ですが、怪盗レトルトに関して新たな情報が入手できました。怪盗レトルトには、メダロット以外の相方がいるとの情報です。目撃者の証言によると、赤いマントと赤いレオタードのようなスーツを着たダイナマイトボディのマスクを付けた女性が怪盗レトルトと共に行動していたとのこと。警察やセレクト隊では、密かに彼女のことを『魅惑の怪盗レトルトレディ』と呼んでいるとか。
証言をしてくれた一人のメダロット社勤務のKさんは、『私は彼女のことをコマチと呼んでいます。えっ!? 何となくですよなんとなく。だって、顔は見てないですけど、綺麗な感じな人でしたもの』と語っていた≫
イッキたちは怪盗レトルトやロボロボ団の動向も気になったが、次のニュースはもっと気になった。ところで、Kさんって誰だろう? 何だか、知っている人のような気がした。
≪メダロット界の権威の一人。ヘベレケ博士が新開発した石とは!?
博士によると、この石を使って巨大な浮遊移動物体を開発し、贈り物を持ってアメリカに渡航するとのこと。今年の冬には完成を見込んでおり、一般人の方を数名ほど招待する予定のようです。抽選応募予約はこちらから。博士所属の研究団体のHPからでも受付はできるそうです≫
ニュースは三十秒間応募予約の記載を表示した。
「メタビー! ちゃんと記録したか!?」
メタビーは左手で自慢気にグッドサインを作った。こういうとき、メダロットの記憶機能は便利だ。イッキは早速手書きの応募予約を書くことにした。
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御神籤町の小学生が口に出せば上る話題といえば、二つ。一つはなんといっても文化祭だ。今年の三年一組はたこ焼き屋と演劇の二つと決まった。
演劇はオトコヤマが四組の畠田先生に対抗意識を燃やしたため。たこ焼き屋は、演劇のついでに何かもう一つやってみようと提案され、飲食店が多くを占めた。何故たこ焼き屋になったかといえば、イッキが率先してたこ焼き屋を推したのだ。
どちらかといえば隅っこでじっとするタイプであるいつものイッキらしからぬ気迫に生徒は気圧され、オトコヤマはお前の熱意に感動したと筋力トレーニングしながら賛同したので、演劇のついでにたこ焼き屋をやることになった。
イッキの一番好きな食べ物はカツカレー、次いでたこ焼きとくる。またまたどうして豚カツではなくたこ焼きにしたかと聞けば、ママの豚カツを再現するのはまだ不可能だからだ、と。
「なーんていえばいいのかな? イッキのお母さんの豚カツはお惣菜の類はもちろん、美味いと噂されている豚カツ屋さんのカツより美味しいからというしかないわね」と幼馴染であるアリカはクラスメイトにこう語る。
メタビー、金衛門、アリエルは驚いた。以前、たこ焼きは地球を表していると言っていたが。あの大人しいタイプのイッキがこうも変わるとは、彼のたこ焼きに対する拘りはどこから来ているのだろう。
飲食店担当と飲食店と演劇を兼ねたイッキを含む十名の生徒は、文化祭当日までイッキのたこ焼き製法を教えられた。嫌がる者はいなかった。イッキのたこ焼きへのメダロット並の情熱と教え方が真面目だったからだ。
かくして、一組は飲食店と演劇を一手にすることになった。このことに、校長とナンテツは喜んでいた。
「ふむ、校長。三年生は根性がある生徒たちが多いようですな」
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