閑話バレンタイン戦線異常なし〈前半〉
穴に車輪が引っ掛かった戦車は大きな音を立てて空中で一回転したのちに壁にぶつかった。
「まあ、そうなるよな……これからどうするんだ?」
崩壊した通路を見ながらクーフーリンが呟く
「まあ、いつもの事とはいえ彼を頼ろうと思う」
「彼……あいつか」
それに対してアーチャーはそうだと言って通路の通気孔に手をかけるのだった
「本当にこんな所にいるのか?」
汚れた通気孔を進みつつアーチャーに疑問をなげかける
「ああ、部屋がない彼は暖かさを求めて暖房用の空調パイプがあるここに住んでいる」
「部屋がない?何でまたそんなことになってんだ?」
「この前に黒い方のアーサー王がきただろう?」
「そうだな。それがどうしたんだ?」
「彼女はアーサー王の暴君としての面が強く出ているんだが………彼女が所長の部屋を奪略したのさ」
「……………」
このときクーフーリンの頭の中で
(おいお前……)オルタ
(な、何かしら)所長
(部屋を寄越せ今すぐに!)オルタ
(どういう事かしら?)所長
(………分からないのか?あのような狭い場所ではなく我にふさわしい居城を欲しているのだ!)オルタ
(それって……)所長
(この部屋だ!)オルタ
(む、無理よそんなの「チャキ鞘を動かす音」どうぞお使いください)所長
(ウム)オルタ
(あのう……私はどうしたら?)所長
(知らぬ!どこえでも行くがいい)オルタ
バタン
と容易に想像できてしまったのだ
「で……それが奴がここに住むことに何の関係があるんだ?」
「そのあとに所長が彼の部屋に住みついたんだが……」
「なるほど小言と飛んでくるガンドから逃げる為にこうなったわけか……」
「その通りだ」
そういいながら二人は通気孔の中を進んでいく。
すると最初はホコリや油がこびりついていた壁や床が段々と綺麗になってきたのだ。そしてあるところでアーチャーが突然立ち止まる。
「止まれ!」
「どうした……なるほど」
そこにあったのは隠されたルーンによる魔術トラップ群だった。その種類は多種多様におよびこれを作った人物の根気と周到さがわかる。
「しっかしまあ…光、炎、惑わしと非殺傷が多いな何を警戒してるんだか」
トラップを解除しながらそういうと
「おそらくナイチンゲールとマシュ対策だろう」
ルールブレイカーを形成してトラップを解除しながらそうかえされた
「何でまたそんなことになってんだ!」
「ナイチンゲールは不潔になった彼の住みかを消毒(焼却)しにマシュは部屋に連れ戻そうとするからな彼にとっては天敵同然だろう……着いたぞ」
トラップ群を抜けると天井、通路ともに広くなりちょっとしたスペースが出来ており、そこには折り畳み式の机と椅子そして膨大な量の書類が積み重なりその奥には段ボールでできた小屋のような物が建っていた。
「ようこそ、現カルデアの中枢へ」
アーチャーは皮肉を含ませて言うのだった。
後半へ続く
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