ハーメルン
幼女を愛でつつ敵をくっころし天下を統一するだけの話
6話 水鏡女学院

 

 荊州。そこは宗部と呼ばれる豪族達が跋扈し、四分五裂の状態であった。袁術が、董卓を討つ為に荊州一州から十万の軍と太守、県令を集めた結果、荊州中の武官と文官が消えた。兵は無限に湧くものではないし、兵を集めるには太守や県令を集める必要がある。

 袁術の下に太守や県令が、任地から徴兵、徴収し尽くし、南陽へ集結すれば、それ以外の土地に残るのは女子供や老人、そして豪族の荘園に居る私兵達である。豪族達は私兵を集め、兵士の居ない城を奪い、勢力を広げた。

 袁紹を盟主とした反董卓連合も同じような状況だ。董卓を討つと集めた太守達の領地では、賊が跋扈している。黒山賊百万を代表に、青州黄巾三十万、白波賊十万、南匈奴三万など、数千規模の賊に至っては数える事も難しいほど居る。それを全て放置して参戦している。後漢全土が無政府状態に近い。

 特に荊州は、洛陽と南陽宛城の道中、梁と呼ばれる地の東で起きた遭遇戦にて、孫策が呂布に敗れた際、多くの兵と共に太守や県令達が死亡したこともあり、郡や県の長の殆どが居なくなってしまった。

 荊州刺史と南陽郡太守、南郡太守は孫策によって謀殺され、武陵郡太守、桂陽郡太守は梁東の戦いで死亡。江夏郡太守は南陽に居たが、南陽太守を謀殺したことを恨んだ農民による反乱により死亡。長沙郡の孫策は袁術に豫州刺史に命じられたので豫州へ。零陵郡太守は孫策に殺される事を恐れ、逃亡してしまった。

 南郡に位置する宜城。

 ここもよくあるように、南郡太守が反董卓連合に県令達を連れて行った結果、県令が死に、無法地帯となっており、そこを水鏡女学院の女生徒達が己の身を守る為に占拠していた。

 乱世である。

 県が賊に襲われ、略奪を行い、身なりのいい少女達が賊に捕まりそうになり、慰み者にされそうになった。彼女達が普通の少女であればそういう未来だっただろう。しかし、その私塾の門下生は一味違っていた。

 諸葛亮・鳳統・徐庶・孟建・崔州平・尹黙・向朗・石韜・李言選

 その他にも将来を嘱望される少女達の群れである。この中で唯一武技の扱いに長ける徐庶が先陣を切り、若き軍師達、若き政治家達の卵は、残された男手を集め、策を練り、そして撃退し、城を取った。

 名目上は鳳徳公が責任者になっている。彼女は鳳統の叔母であり、水鏡女学院の出資者である。しかし、彼女はあくまでも名を貸しているだけに過ぎない。撃退し、その後も城を維持するべきと主張した二人が居り、その二人を中心にまとまっている。


 一人は諸葛亮。もう一人は鳳統。この二人が今後の方針を話し合っていた。


「朱里ちゃん、南陽、いや、荊州はどうなっちゃうのかな?」

 鳳統は、不安気に諸葛亮に問いかける。荊州の太守や県令が居なくなり、無政府状態が続いている状況の行方は『鳳雛』と呼ばれる鳳統すら打開策を見つける事が出来ないでいる。

「うん。揚州の丹陽太守である周昕さんは、袁紹さんと同盟を結んで、孫策さんの新たな本拠地で、袁氏の本来の本拠地である豫州を攻めた。反董卓連合を作った袁紹さんが董卓さんを追い詰めた孫策さんを攻撃している。……袁紹さんにとって反董卓連合は、董卓さんの首を取った者が袁家の代表となる権利を持つ戦いだった。そしてその戦いで負けそうになったから妨害した。それ以上の意味はなかったんだろうけど。これで諸侯同士が争う事は間違いないよ」

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