最終話
―――何事にも終わりはある。
生には死があり、朝には夜があり、ゲームにはクリアがある。
では、旅の終わりとは一体なんだろうか?
「―――モモン、依頼がきた」
「ん? アルシェに直接とは珍しいな。俺たちが組んでからそろそろ一月にもなるし、世の中ではモモンの仲間と判定されたかな」
「―――どう評価されているかは分からないけど、今回のは別件だと思う」
「ふむ、どういう事だ?」
「―――依頼されているのは〝フォーサイト〟。他にも多数のワーカーが集められている」
少し前に聞いた名に、モモンガは多少の驚きを覚える。
「何故解散したチームに声が掛かるんだ?」
「―――ワーカーは別にギルドに登録している訳じゃない。解散を大声で表明したわけでもないなら、こういうことも偶にある。一度、今回みたいに多数のワーカーが集められたと思ったら半数が解散してたなんて事もあった」
「それは……成る程、ワーカーらしい話だな」
余り笑えない話だと、モモンガは複雑な心境を声に出す。アルシェにとってはソレは常に隣り合わせ、今更悲しむことも恐れることもない胆力は備えていた。
「それで、その依頼はどうするつもりだ?」
「―――報酬が破格。少し胡散臭くはあるけど、貴方が良ければ受けたいと思っている」
「ふむ、ではまず内容を聞いてみようか」
「―――今回の依頼者はフェメール伯爵。依頼内容は王国国土にある遺跡の調査……ワーカーに依頼するという事は実質強行偵察と思われる。報酬は前金で200、後で150。仕事次第では追加報酬があり、見つけた魔法のアイテムは伯爵に全て権利があるものの、発見者には市場の半額で購入権をあたえられる。
裏を取った限りでは、フェメール伯爵は鮮血帝の憶えは良くないものの、金銭に余裕はある。冒険者ギルドではなくワーカーに依頼がきた点も、王国国土内の調査という時点で納得はできる。ただ、問題はその遺跡そのもの。今まで未発見の遺跡ということだけど、調べた限りではそんな所に都市があった記録はなく、噂もない。情報の出所も不明、そのわりには報酬が高すぎるという点」
「確かに妙な話だな、だが罠というには少し回りくどい。例えばその遺跡が危険な場所にあるということは?」
「―――安全ではないけど、裏付けというには弱い。遺跡の場所はここ。トブの大森林付近ではあるけど、近くに小さな村がある。この村は昔からあるようだし、そう危険な場所だとは思えない」
アルシェが地図を広げて指差した場所には、何もない平地が広がっている。だが、モモンガにはそこに少しばかりの縁がある。近くの村の名は『カルネ村』だったのだ。
(とするとここは俺がこの世界に降り立った場所じゃないのか? だが、あんな場所に遺跡なんて無かったが……)
「遺跡の情報は少しもないのか? 例えば常時霧に覆われているとか、草に覆われた中に地下への階段が紛れていたとか」
「―――特にそういった情報はなかった。何故いままで見つからなかったのか分からないぐらい、堂々と大きな遺跡がいつの間にかそこにあったらしい。遺跡というのは少し表現が違うかもしれない。発見者はこの遺跡をこう表現した」
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