ハーメルン
ARMORED CORE VERDICT DAY ヴェニデの剣豪
Chapter09 夢と現実
死神の一件を終えた基地の兵員たちは各自の持ち場に戻っていく。
兵員が持ち場に戻る中、霧山とフレイドは自分たちのACを第一格納庫に戻そうと機体を移動させていた。
いち早く指定の場所に戻し終えたフレイドは機体から降り、緊張の糸が解れてゆっくりと背伸びした。
「あー、疲れた」
フレイドが背伸びをしているところで霧山も機体を戻し終える。
霧山のACのコックピットハッチが開く。が、霧山が降りてこない。
なにかおかしいと踏んだフレイドは霧山のACのコックピットハッチへと急いだ。
フレイドは機体を駆け上がり、コックピットに到達。コックピット内を見ると霧山が胸を押さえながら吐血していたのだ。
口から血が滴り落ち、その口から出た血は操縦桿やフットペダル、そしてモニターにまで飛び散っていた。
それもそのはず、霧山の身体の九割が人工物で出来ており、研究者たちの改良プランによって心臓部は人間の身体にとって余りあるACの低出力ジェネレーターを小型化した物を使用しているのだ。
そのジェネレーターと身体に埋め込まれた機械で身体の動くスピードを三倍に引き上げ、そして神経系を強化することによって三倍に動かせる身体をフルに活かせるようにしている。
もちろん、ジェネレーターから発せられる異常な高熱や機械の高速動作によって身体への負担はかなり大きなものだ。
だが、その負担を戦闘中に出さないためにあらかじめ洗脳を行い、意識を全て敵に集中させることで戦闘中での負担をクリアしているのだ。
戦闘後の負担はデカいが、改良プランを練った研究主任は兵器として考えている故に霧山の負担など微塵も考えてはいなかった。
「死ぬなよ、おい!」
フレイドは吐血した霧山に手を貸してコックピットから出してやった。
そのまま手を貸した状態で危なげながら機体から無事に降りた。
「霧山、医務室で診てもらおう」
「大丈夫だ、一人でも行ける」
その無理をした霧山の言動に心配なフレイドは霧山に肩を貸して医務室へ向かおうとした。
しかし、自らの弱さを認めたくない霧山は「やめろ、俺一人でも行ける」とフレイドに言い放つが、フレイドは「駄目だ、お前が心配なんだ!」と霧山に強く返した。
フレイドは霧山を支えながら医務室へと向かった。
医務室は管制塔に隣接している施設の中にあった。
彼らが医務室へと向かう最中、周りが騒ぎ始め、彼らに手を貸す者も現れた。
「手を貸すぞ」
「すまねぇ助かる。これまた意外と霧山が重くてな」
手を貸してくれたのは霧山が初陣を終えた際に格納庫へ案内してくれた扇風機の兵士だった。
その扇風機の兵士は片方の肩を持ち、医務室へ共に運んだ。
「俺はそこまで太ってない」
「おお! 重い重い!」
すかさずフレイドにツッコミを入れ、フレイドはいかにも重苦しそうな表情を作ってふざけた。
霧山もフレイドも表情がゆるみ、笑みをこぼした。
お互いにふざけ合っているといつの間にか医務室の入り口前に着いていた。
「じゃあ、任務があるから」
扇風機の兵士はいつもの小型扇風機から発せられる風を気持ち良く受けながら自分の持ち場へと戻って行った。
霧山とフレイドは医務室へと入った。
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