ハーメルン
戦姫絶唱シンフォギア ~Gungnir Girl's Origin~
EPISODE17 Rebirth→Next?(後編)
「君のいた世界では戦争が起きた、あの時君はそう言ったな?」
ガングニールの件は一先ず置いておくことになり、持っていた槍を消した凛花は声に出さずただ頷いて肯定する。
凛花の気持ちは未だに晴れる事がないまま、悲愴な面持ちを保っている。
「君に何が起きてしまったのか、話せる所だけでもいい、俺たちに話してみてくれないか?」
「……それ、は……、……っ」
陰鬱な表情を浮かべて俯いたままだった凛花は不安げに弦十郎の方を向いた、がしかし、すぐにベッドへと目線を逸らす。
いつの間にか凛花の身体は無意識に細かく震えていた。
「独りで考え込んで良い答えが出せないのなら尚のこと誰かと語り合った方がいい。話し合った末に自分の納得の行く答えを出せればそれでいいんだ。
君の望む答えは出せないかも知れない、だがどんな形であろうと必ず君の力になってやる」
「…………………………っ」
震えるあまり自分の身体を自分で抱き締める凛花。
それは本能的な自己防衛によるもの。
そんな様子に心を痛めながらも、しかし弦十郎は凛花に対して話すように要求した。力不足で及ばなかった過去の自分に対する後悔と反省を無駄にしない為に。
今度こそは絶対に、と。
そんな覚悟に胸を打たれたのか、はたまたそんな事をつゆも感じる事無く話し始めたのか、僅かな期待を胸に持った故なのかは分からない。
長い長い沈黙を経て、長月凛花は独白する。
「……今から8年後の世界で起きた戦争……その原因は、実質的に日本が独占していた聖遺物、取り分けシンフォギアを狙った全世界による日本へと一方的な侵略でした……。しかも日本全体を一斉に攻撃して来て、1日と経たずに日本中が戦火に包まれました。
宣戦布告すらも実質的に無く、あまりに唐突すぎて何も分からないまま私たちは正当防衛と救助活動と言う名のもとに反撃を始めました。
誰かを守る為にあるシンフォギアの力を……誰も傷つけたくないと言う思いとは裏腹に同じ人間に対して牙を剥けだして、ついに手をかけてしまった……何人も死なせてしまったかも知れない……。
……そして私は何もかもをあの戦争で失ったんです。
まるで犯した罪に罰を与えるかのように。
私のいた世界ではとある事件後に、極秘であったはずのシンフォギアの存在が世界に知られてしまいました。
ノイズへの対抗力を持つと言う事以上に強大な軍事力として各国政府では捉えられていたシンフォギアが戦争の原因と言うこと、それが日本でも拡散していて、負傷した誰かを助けても「助けてくれてありがとう」の一言も無く、お前の所為だと、お前が居なければ戦争なんて無かったんだと、怖い顔をした色んな人たちから罵倒され蔑まれ、終いには敵意剥き出しに石なんかも投げられて、敵の兵士に「目的の奴はここにいるぞ」と告げられ裏切られていく始末……。
けれど無残にも見捨てるわけに行かなくて、身を守りながらずっと救助活動をしていました。たとえどんなに居た堪れなくなっても、心が苦しくなっても我慢してそんな人たちを助け続けていました。
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