2020年01月09日(木) 20:30
※『とある魔術の禁書目録』における一方通行に関するあれこれの考察※
全く別の二次創作を書いている最中にふと疑問に思った事を考察してまとめた物です。
どっかの歌姫様と違ってかなり人気のある作品なのでこの程度の考察は既に行われているかもしれませんが……まぁ、お楽しみ下さい。
原作中では彼ないし彼女の能力は『ベクトル操作』と定義されており、普段は自動反射演算を展開する事であらゆる攻撃から身を守っている。
しかし、描写が曖昧なせいか筆者の想像力が追いついていないせいかいくつかの疑問点が出てきたので考察する。
①、能力の射程距離
原作中の描写だと『素肌に触れるか触れないかくらいの距離』で反射が発動してるっぽい。
その定義だと服がボロボロになりそうだけど……そこは目を瞑っておく。
ベクトル操作に関しても触れる必要があるようだ。遠距離から操作できたら上条さん如きに負けてない。
しかし考えてみてほしい。この世のあらゆる物質は分子によって構成されている。
より細かく考えるならば原子、更に細かい領域では電子、陽子、中性子等も。
禁書における超能力は素粒子レベルの事象を改変する事により発動しているので分子などという比較的巨大な物が対象外というのは有り得ない。
となると、例えば銃弾を反射する場合は銃弾の分子一つ一つに対して発動しているという事になる。
この時、能力の射程距離がせいぜい肌から1mm程度だとすると弾丸の最後尾が射程距離に入る頃には先頭はとっくに素肌に接触している。
先頭の方から順次反射を適用していくと先頭の分子が反射され、次の分子に衝突し……という事を繰り返し、銃弾はグニャッと広がるという結果になりそう。どうやっても銃口まで反射するとか有り得ない。
しかし、実際には最初に能力を披露する時にかなり遠距離から狙撃されたにも関わらずしっかりと銃口から破壊している。
これを可能にするには……最初の分子を反射する時点で最後尾までの全ての分子を反射するしかない。射程距離は当然1mmを余裕で越える。
この理屈はおそらくはより巨大な砲丸等でも適用される。第一位が岩石をぶつけられて生き埋めになるとかいう軟弱さだったら誰も苦労してない。
という事は能力の射程は実質無制限……とまでは言わずともかなり広いんじゃないだろうか? 本人の思い込みが制限してるだけなんじゃないだろうか?
結論、射程距離は頑張れば伸ばせそう。
なお、召喚獣の場合はゲーム的な解釈がいくらでもできそう。物理的に考えるからアウトという話だ。
②、絶対能力進化実験について
能力そのものの解説じゃないけど、せっかくだから考察。
この実験の概要をザックリと要約すると『強い敵と戦いまくればレベルが上がるよ!』という事らしい。
そして、この実戦による能力の成長は第一位に限定されてない。
だったら、クローンを2万体も殺すような非効率でコストのかかる事をせずにお互いに殺さないように寸止めして鍛え合った方が効率的なんじゃないだろうか?
仮にもレベル5になれる才能を持つ人物のクローンなわけだし、番外個体さんとかはレベル4に達してるわけだから他のクローンも上手い事やればそのくらいは行ける気がする。
クローンが強くなれば戦闘回数も減らせるだろうし、第一位も殺害じゃなくて寸止めの方が神経を使いそう。能力の強化には絶対役立つと思う。
ただ、この実験自体は全く別の目的を持つカモフラージュの実験なので色々と嘘があったんでしょうね。
結論、そもそもの前提である『強い敵と戦えば……』というのが多分嘘。だから考察しようがない。
もし本当だったら時間とコストを大分削減できる。
③、脳障害を負った後の時間制限について
第一位は物語の途中で脳を損傷してしまい、『補助装置のバッテリーが尽きるまでしか能力を使えない』という状況に陥る。
しかし、バッテリーの充電は普通にできているようだ。当たり前だけど。
バッテリーの元は恐らくはコンセント等だろう。高性能とはいえ所詮はバッテリーなので、適当な電源で事足りるはずだ。
だったら話は簡単で、第一位の能力を使って適当に発電すれば永遠にバッテリーが持続する。と言うか最初の発動時以外バッテリーが必要無い。
コイルと磁石を適当に動かしても良いし、電子を直接いじっても良い。第一位の反則的な力があれば反則的な発電が可能だろう。
変圧や整流が必要なら能力を使っても良いけど普通の電気回路で全く問題無さそう。
ただ、原作ではバッテリーだけが問題視されていたけど、補助装置をフルで使ったらそれはそれで何か問題があるのかもしれない。それより先にバッテリーが尽きるというだけで。
結論。バッテリー問題は解決できる。その他の問題は知らん!
④、木原神拳について。
本作では剣くんがハッタリとして用いた超絶技巧。と言っても公式名称じゃなくてファンの間の通称だけど。
本文でも説明した通り、反射が発動する瞬間に拳を引き戻す事で普通に殴れるという技。霧島さんには通用しないけど第一位には通用する。
ただ、結論から言うと不可能と言って良いだろう。
そもそも第一位は反射において一体何のベクトルを操作しているのか。
恐らくだが、攻撃の『速度』ベクトルだろう。これは銃弾を跳ね返している事から間違い無い。
銃弾を完全に同じ軌道で跳ね返すには銃弾にかかる重力と空気抵抗を反射し続けなければならないが……そもそも銃弾の形状が前後で(多分)違うので、前進時と後退時の空気抵抗も異なり、相当複雑な操作をしないと不可能。そもそもそんな事ができるなら第一位の能力の射程がとんでもない事になるし、『完全に同じ軌道』とまでは明言されてなかった気がするのでとりあえず今は『速度』ベクトルのみを考察しておく。
(あくまでも『反射』におけるベクトル操作。通常のベクトル操作ではこれ以外にも多岐に渡る)
というわけで木原神拳も拳の速度を逆にする事で反射を突破していると考えられる。
しかし、物体の速度が一瞬で反転するというのは超能力でも使わないと有り得ない。
拳に負の加速度が働く事で減速し、拳が停止し、更に負の加速を受けて負の速度が発生するというプロセスを踏む必要がある。
もの凄い力で拳を引き戻せば木原神拳は成立するが……一体どれだけの力が必要なんだろうか?
それを知る為にはまずは第一位の反射には一体どれだけの時間がかかっているのかを推測する。
原作では音速くらいの銃弾も普通に防御していた。今回はキリ良く秒速300mとし、反射幕の厚さをキリ良く1mmとしておく。
銃弾がこの1mmを通過するまでに反射を行わないと第一位は死ぬ。
その結果、反射に必要な時間は遅くとも1/300000秒。ギリギリで反射したら青アザができそうなので多分もうちょい速い。
木原神拳を行うにはそこそこの速さで殴る事で拳が反射幕に到達し、1/300000秒以内にせめて停止しなければならない。
拳の速さはちょっとよく分からないが……面倒なのでとりあえずキリ良く秒速1mとしておく。
これを規定時間内に停止させるのに必要な加速度は300000m/s^2。地球の重力は約10m/s^2なので、約3万Gが必要。
腕の重さを1kgと仮定しても30トンの負荷がかかる。こんな負荷を腕にかけたら第一位をぶん殴る前に腕が千切れ飛ぶ。
しかもここまでやってできるのは第一位の目の前で停止する事だけ。殴りかかった時と同じ力でぶん殴る為には倍の力が必要。
学園都市の技術なら身体の一部をサイボーグ化とかして腕を頑丈にする事もできるかもしれないけど……それでもやっぱり関節部は必要だろうし、そこに負荷が集中するとあっという間に壊れると思う。
仮に反射幕がもっともっと分厚かったと仮定して負荷を軽減しようとして、仮に30cmあったとしてもまだ100kgの力がかかる。
一般人がやろうとしたら確実に脱臼するし、いくら木原くンでも何度もやったらボロボロになると思う。
と言うかそんな分厚かったらそもそも第一位に届かない。それ以前に反射幕がそんな分厚かったら日常生活に支障を来す。
どうしても木原神拳をやりたいのであれば反射幕の手前で一旦停止し、超微速で反射幕に侵入。侵入と同時に思いっきり引けばそれっぽくはなりそう。
それでも1/300000秒台を見切る超絶技巧が求められるし、できたとしてもかなり軟弱なパンチになりそうだけど。
停止の為の腕への負荷を10kg程度に抑える場合の拳の侵入速度は1/3000メートル毎秒。つまり、秒速0.333mm。まぁ、物理的に不可能というわけではないのでこれくらいなら頑張ればできる人は居るかもしれない。停止しただけでは全く意味が無いが。
ここまでは第一位が直立不動だと仮定したが、動いていた場合はどうなるだろうか?
第一位の反射は間違いなく『自身との相対速度』のベクトルを操作している。(絶対速度の反射だったら止まってる電柱に激突するだけで大怪我する。学園都市に電柱なんて多分無いけど)
なので、第一位が突進してきた時に木原神拳を使う場合、その速度以上の速さで腕を引く必要がある。
例えば木原くンの拳が反射幕に接触した瞬間に第一位がキリ良く秒速1mで前進してきた場合、木原くンはその分だけ早い速度を、秒速1mが目標なら足し算して秒速2mの速度で拳を戻す必要がある。
これくらいならまだマシな方で、第一位が能力を駆使すれば車の速度は余裕で越える。時速72kmだとしても秒速20mであり、拳の引き戻しだけで対応しようとするなら30トンの20倍の600トンの荷重がかかる。いくら学園都市の技術があっても流石に無理なんじゃないだろうか?
これに対処しようとするならほぼ同じ速度で全力で後ろに逃げる事で相対速度をほぼゼロにし、接触する瞬間に木原神拳を叩き込むしかない。しかし生身の人間が自動車並の速度で走る事はまず不可能。学園都市製のパワードスーツ等があれば車の速度くらいはイケるかもしれないが……果たして第一位の全力のタックルの速度がどの程度になるのか。
第一位は適当に突進するだけで木原くンを倒せる。
付け加えると、第一位が閃光手榴弾などで気絶したという話も聞いたことが無いので光すら反射している。反射にかかる時間はもっと減る。
まぁ、光が特別早い事は周知の事実なので第一位も警戒して特別な演算を組んでるのかもしれないけど。
結論。木原神拳はまず不可能!
ただ、木原くンの腕が約60トンの荷重に耐えられる腕なら一応可能。
第一位の前で一瞬とはいえ停止して良いなら約30トンの力が必要。
あるいは何か別のベクトルを操作してるんだろうか? う~ん分からん。
以上になります。こんな感じで深く考えると色々とおかしな点が見えてきます。
まぁ、矛盾の無いフィクションなんてそうそう無いですし、細かい事を考えなければ普通に面白いから全く問題ないですけどね。
この文章を少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
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