総力
「フッ!!」
ブロリーの放った淡い薄緑の気弾がクウラの手刀によって薙ぎ払われ、
速度を落とすこと無くブロリーに肉薄するとそのまま彼の顔面を殴りぬいた。
避ける気配が全く無いブロリーの巨体が衝撃にやや仰け反ったが、
「………何なんだァ? これは」
異常な首の筋力で無理矢理クウラの拳を跳ね除け、
逆にブロリーの豪腕がクウラの顔面目掛け迫ってくる。
が、クウラもまたそれを避けもせず…
とてつもない分厚さのゴムタイヤを鈍器で殴るような鈍い音の後、
「こそばゆいな…!」
「な、なにィ!?」
真紅の瞳だけを歪めて笑うクウラは頭すら揺れず、全く動じないのであった。
クウラの外骨格が完全にブロリーの拳撃を無効化していた。
「もう少し力を出しても良さそうだな……! ハァァァァァッッ!!!」
「っ!! ぐ、おおおっ!!?」
クウラの膝蹴りがブロリーの鉄壁のボディにめり込み、
力を緩めぬクウラは膝をめり込ませたままブロリーを遥か後方の岸壁にまで叩きつける。
大音量と共に崩壊していく山を尻目に、
クウラはブロリーの脳天にダブルスレッジハンマーを食らわせると
そのまま大地の奥深くまで彼を埋没させた。
衝撃で地が深く割れ傷つき、まるで地球が出血するかのようにマグマが吹き出し始める。
見る見るうちに辺り一面を灼熱に染めていった。
だが、クウラは
「ムゥゥアアアアアアアアアアアアア!!!!」
雄叫びを上げながら自らそのマグマの海に突っ込んでいき、
「ぐああああああッ!!!?」
ブロリーの腹に更なる追撃の拳を見舞い、彼をより深く土中へと埋めていく。
余りの衝撃に灼熱の海が払い除けられマグマの海底が露出する程だ。
「む、虫けらが……! 調子に乗るなァ!!!」
だが、ブロリーとて常軌を逸した化け物。
マグマに沈もうが傷一つ負わず、そしてクウラの追撃を受けながらも
手に薄緑の気弾を瞬間でチャージ、一気にクウラの腹に叩き込んだ。
ブロリーの気弾は炸裂せず、ギュルギュルとクウラの腹で乱回転を続け、
「むぅぅ!?」
クウラの体をグンッ、と持ち上げてそのまま空へ押し込んでいく。
だが、両手でガッシリとブロリーの気弾を押さえ込み、
ググググッと力を込めるとそのまま押し潰して霧散させてしまった。
クウラの腹からしゅうしゅうと煙が昇り立ち、その皮膚は幾らか焼けていた。
「フッ、ハハハハハッ……楽しませてくれるぜッ!!」
およそ戦闘力6000億。
それが最終形態となったクウラのパワーである。
対してブロリーのそれは3000億。 倍近い差をつけてクウラが上回る。
だが……、
(あのサイヤ人…! どんどん気が増えてやがる!)
そう。 3000億付近だった筈のブロリーの戦闘力は、
クウラの腹に気弾を叩き込んだ時点で何と3300億にまで成長しているのだ。
異常なことである。
「たったこれだけの時間でそれ程のパワーを!
放っておけば貴様の戦闘力がどれ程伸びるのか興味はある……興味は、な!
だが…………!!」
話している今もクウラに眼球内に映し出される戦闘力は忙しく数字を変え、尚、増加。
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