ハーメルン
どこまでも俺様主義 Episode.1:砂漠の国の紛争
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どこまでも俺様主義 Re-meke Episode.1:砂漠の国の紛争
第3章 「The Art of War――One boy wanders in the desert.」
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ジェフリー臨時特務少尉は憂鬱だった。
彼はいわゆる傭兵である。
カランド紛争決勝戦プログラムはまさに格好の稼ぎ場であった。少なくともこの瞬間、そう開戦するまでは。
ゲノポスの街は政府軍の『支配地域(コントロール・エリア)』であるといわれている。だが、実態は『競合地域(コンテスト・エリア)』である。
だからだろう、ゲノポスの街より攻勢に出る予定として編成された政府軍第4方面軍には、政府軍虎の子の機甲師団である第17師団を中核に編制され、その第17師団に至ってはそのメインとなる機甲連隊が旅団戦闘団としていくつも編制しなおされていた。
結果として書類上は1個師団に過ぎない『第17師団』は事実上1個機甲師団と3個旅団程度の戦力を保持している。
これほどの戦力を集中させる必要があった。何故ならばここは3勢力が競合するポイントで、安定的な空間ではないから。
そして、その政府軍と政府軍第4方面軍が行おうとしている侵攻作戦は簡単だ。
『圧倒的な物量と火力と波状と同時と全面と全域と縦深でもってささやかな抵抗ごと全部まとめて一撃で捻り潰す(PU-44ドクトリン)』。
だからこそ、第4方面軍に属する第15師団の師団砲兵たちはこれより、拘束効果も期待された2日間にわたる強大なる準備砲撃をせんとしていた――ときだった。
傭兵、ジェフリー臨時特務少尉はその日、確かに憂鬱だった。
何しろ、今、目の前に
「ちっきしょぉ……」
敵の歩兵が銃剣を煌めかせながら彼へと走ってくるのだから……。
第17師団が進む先にいるであろう敵兵を確実に「無力化」し「制圧」しそして「破壊」する。
そのために第14師団の師団砲兵たちが作戦道理に奮戦せんと、動き出すそのほんの数秒前、師団将校たちの何人かの視察団。
こんなところに何をしに――?
その疑問は直後の銃声とともに答えられた。
この将校たちは、偽物だと。
第17師団の師団砲兵たちは最前線の連中のために動き出す。そして、砲弾を詰め込んで――――
――連続して聞こえる、破裂音が、第17師団師団砲兵たちの運命を刻む。
空を飛んでいた、政府軍の空軍戦闘機部隊は唐突に響くアラートを前に狂乱した。
REDAR――のサインがパイロットの目には見えている。続いて新たなサインが示される。
SAM(地対空ミサイル)――。
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