第14話 店舗完成と最後の仕上げ
<転移門>を使用し、中に入ると目の前には膝を突きアインズを待っている守護者二人の姿があった。
「出迎えご苦労。アウラ、マーレ」
「お待ちしておりました! アインズ様」
「お、お待ちしておりました。アインズ様」
全く同じ台詞を言いながらも話し方と声の大きさが全く異なる二人の歓迎を受けながらアインズは大きく頷くと二人に立ち上がるように命令した。
「では案内をしてもらおうか。転移が可能なのはこの場所までだったな」
客が出入りする表口ではなく、行商人や仕入れ業者を出入りさせる為に使われていたらしい裏口──馬車がそのまま入る作りになっているため、表の入り口よりも広い──から入って直ぐの場所に設けられた一室。
本来であればここで荷の積み卸しや出入りのチェックなど行っていたらしいが、魔導王の宝石箱は基本的に全て自前、ナザリックから直接運ぶため関係者以外が出入りする必要が無く裏口は取り潰し代わりに店内で唯一外からの転移が可能なスペースとして活用している。
アインズたちは常にここを経由してナザリックから出入りすることになる。
「はい。ここより先の部屋は転移阻害を含めまして遠視、盗聴、かなり高位までの魔法を阻害出来るようナザリックよりアイテムを持ち込んでおります。その警備として人間たちに派遣する鉄の動像と同じ外見を持つゴーレムを幾つか配置しています」
ハキハキとアインズの質問に答えるアウラに、アインズは満足げに頷くと二人を連れて歩き出す。
今回は内装工事完了の知らせを聞いて確認と同時に開店にあたって最後の仕上げを行うための訪問だ。
アインズも出入りする以上監聴対策は万全を期する必要があると考え、アインズが自ら視察に訪れたのが表向きの理由で、最後の調整と言う名の細かな部分に関して決めねばならないことが増えすぎて、それらを別の者に任せて逃げ出す理由が欲しかったというのが本当のところだ。
扉をくぐり中に入ると店内、ではなく倉庫代わりに使用する予定の広い部屋に到着する。
確かに部屋の四隅に胸にアインズ・ウール・ゴウンの紋章が刻まれたゴーレムが四体配備されている。
外見こそ単なる鉄の動像だが、中身というか種類そのものが異なりそれなりに高位のゴーレムである。
店内に並ぶことになる商品は全てここに運ばれるため、一番気をつけている。
(マジックアイテムは勿体ないから本当は常時魔法を張っていて貰った方が安上がりなんだけど、誰かに見られたらマズいからなぁ)
数に限りのあるマジックアイテムを使用するのではなく、例えばアインズが生み出した高位のアンデッドを常に交代で防御魔法を発動させていれば経費節約になる。
しかし客や商人にこの場所を見られる可能性を考慮し、仕方なくマジックアイテムの使用を許可したのだ。
現在はまだ商品を入れていないため空の棚が等間隔で並んでいる。
アウラとマーレ──基本的にはアウラが話し、マーレはそれを補足する形であったが──の説明を聞きながら、各部屋を回る。
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