第15話 再会
王都に入るための入り口はエ・ランテルとそう変わりはないように思えた。
最初に訪れた際も思ったが、王都というだけあってさぞかし賑やかで立派な建物が建ち並んでいるのだろうと勝手に考えていたが実際はエ・ランテルと大きな差はない。
建物は古く無骨なものばかりで華やかさが無く、道路も舗装されていない場所が多々あり、道幅も広くは無い。
アインズの抱いていた美しい城下町の幻想はすぐに消し飛んだ。
しかしそれでも本通りだけは立派な建物が軒を連ね、道路も舗装されていて人々には活気が満ちている。
アインズ達が今いるのはそんな本通りに繋がる門に設置された検問所だった。
もう長いことここで足止めを食らっている。
先ほどからセバスが兵士となにやら話をしている声が微かに聞こえてくるが流石に会話内容までは分からない。
時々震えたような兵士の悲鳴が聞こえたが、それは決まって馬代わりになって馬車を引いているギガント・バジリスクが低い呼吸のような鳴き声をあげる時だ。
「やはりギガント・バジリスクでも強すぎたか。あるいは後ろ盾がないせいか?」
人間達にとってはギガント・バジリスクもハムスケも強大な魔獣という点では大差がないはずだ。
しかし初めてハムスケに乗ってエ・ランテルに訪れた際には検問所はすんなり通ることが出来た。
それはモモンが冒険者組合に属していたからだ。
仮にあの後何かあってもそれは冒険者組合が責任を負うことになる。だから魔獣の登録はエ・ランテルの自治体にではなく、冒険者組合に登録する事になるのだ。
組合に属するとはそういうことで、要は身元の保証をしてくれるということだ。
しかしアインズは王都では敢えてどこの組合にも属していない。
それは冒険者組合や魔術師組合だけではなく、商業組合にもだ。
所属する際に掛かる加入金を節約するのがその理由だ。
もっともアインズとしては経費節約なんて恥ずかしいので対外的には別の理由を考えているのだが。
「後ろ盾がなければ都市には入れないのでありんしょうか?」
アウラとの激しいジャンケンの結果、アインズの隣の席を勝ち取ったシャルティアがアインズに体をすり付けるようにしながら話しかけてくる。
二人とも透明化の魔法をかけているので姿は見えないがシャルティアの声は上機嫌そのもので、なんならもうしばらく中に入れなくてもいいと言わんばかりだ。
「入れないことはないが手続きが面倒だということだ。本来組合に属していればその組合の証明書を見せればそれで済む。何かあった時は組合が責任を取ることになるからな」
「しかしアインズ様。それではその組合? とやらは損ばかりしているような気がしんすが、どういう見返りがありんしょうかぇ」
シャルティアの質問にアインズは一つ頷き答えた。
「うむ。良い質問だ。組合とは要するに登録した者たち皆の生活の保護や仕事の安定化をはかり、相互協力を行うための組織だ」
「相互協力、でありんすか?」
例えば冒険者組合であれば、組合がモンスター退治の難度や額を決定し、事前に調査を行う。その報告を元に冒険者はモンスターを退治する。
この事前調査が組合の仕事であり、その分の費用が組合に抜かれる。
しかし組合を通さず依頼を受ければ当然その調査や難度の決定、依頼人との交渉は自分で行わなくてはならない。
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