プロローグ
これは本来無かった出会い。
それはフリーザが惑星ベジータを滅ぼしてから数年後の物語。
フリーザ軍の幹部ギニュー特戦隊の隊長ギニュー。
ギニューは攻め行った惑星の中で眠る赤ん坊を見詰めていた。
コールドスリープで眠らされる赤ん坊の尻からは猿の尻尾が生えていた。
「この赤子は……この娘はサイヤ人なのか」
「あー……うー……」
コールドスリープを解いて赤ん坊をカプセルから取り出して抱き上げる。惑星ベジータが無くなってから数年が経過しているのでサイヤ人の赤ん坊はありえないのだがコールドスリープで眠らされていたので歳は取らなかったのだろう。
ギニューは自身に手を伸ばす赤ん坊に何処か思うことがあったのか、このままフリーザと面会する事を考えていた。
「サイヤ人の生き残り……まだ居たんですねぇ」
「お願いしますフリーザ様!私に、この娘を育てさせてください!」
ギニューは赤ん坊を抱きながらフリーザに嘆願していた。フリーザは赤ん坊を眺めながら呟いた。
「私はサイヤ人が目障りで惑星諸共に滅ぼしました。生き残りはベジータ、ナッパ、ラディッツのみ。それに歯向かうのですか?」
「わ、私が育てます!フリーザ様に逆らわぬ様に躾もさせます!どうか、どうか!」
ギニューはフリーザに土下座をしながら嘆願し、フリーザはギニューのその姿を見て溜め息を溢した。
「普段から私に忠義を尽くすアナタがそこまで言うのならば許可しましょう。ただし、そのサイヤ人が私に歯向かうようになった時は……」
「はい……私が直接、手を下します」
フリーザの言いたい事を察したギニューは顔を上げ、フリーザの瞳を見つめた。それは約束を違えないと言うギニューの誓いだった。
「なら結構。精々、私の役に立つ様に育てなさい」
「ハハーッ!」
ギニューの説得に折れたフリーザはギニューがサイヤ人の赤ん坊を育てる事を許可した。
「よーし、お前は今日から俺の娘だ!」
「あうっ!あうっ!」
「………父性に目覚めましたか」
赤ん坊を抱き上げて喜ぶギニュー。赤ん坊にもそれが伝わったのか赤ん坊も笑い、フリーザはギニューが子育てを始め、父性に目覚めた事にタラリと汗を流した。
「ようし、お前の名前はスーナだ!ハーハッハッハッ!」
「既に親バカですか」
気まぐれに女サイヤ人の赤ん坊を生かし、ギニューに育てさせる事に一抹の不安を感じたフリーザだが、その不安は良い意味で裏切られた。
これより十年後。
フリーザの宇宙船でOLの様なスーツを身に纏い眼鏡を掛け、髪を三つ編みにしている少女が報告をしていた。
「フリーザ様、今回の特戦隊の報告書です」
「御苦労様です。貴女がギニュー特戦隊のマネージャーになってから報告書がマトモに出来て助かってますよ」
スーナがギニューに拾われてから十年後。スーナはギニュー特戦隊に付いて回り、報告書を作成したり、スケジュールを確認する役割となっていた。
戦闘力は1500程だが戦闘そのものには、あまり参加せずに事務仕事をメインにしていた。
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