イタリカ攻防戦2
南門で伊丹中尉率いるの第三偵察隊と大場大尉率いる第一偵察隊が陣地を構築していた。
「・・・来てるね」
「はい 斥候ですね」
「後方に本隊もいます」
「数は・・・凡そ五 六百ってところですか」
「狙いはこの南門かな?」
「そうですねぇ」
「イタリカは人口五千を超えるそうです。包囲するには敵の兵力が少なすぎます。最低でも一個旅団は必要です」
「川に面した 北門を除くとしても東西南どこか一ヶ所に戦力を集中させるはずです」
「攻撃箇所を決められる敵が有利ですね」
「それにこの陣地は・・・」
「おやっさんもそう思う?」
「やっぱり城門が突破されることを前提にしているよねぇ」
「城壁と柵の二段構えで敵に出血を強いて時間を稼ぐったところですか?我々は「火消し役」として後方にいる方が・・・」
「う〜ん けどねぇ、一応 あの帝国のお姫様がここの指揮官でしょ?俺達も「茶色の人」って有名になっちゃったみたいだし後ろにいちゃ士気に関わるよ」
そう言って後ろを見るとイタリカの住民が手を振って日本兵達を歓迎していた。
「しかし いかにも手薄です 一度突破された南門に少人数の我々をはりつけるということは・・・」
「ああ わかってるよ おやっさん 俺達は囮だ」
「お前達もそう思うか?おそらく手薄に見える 南門に敵を誘い込んで奥の二次防衛線を決戦場にするって戦法だろう。あの姫様は」
「はい」
「と言っても敵が乗ってくれるかな?」
「まぁ 姫様の騎士団がこっちに向かってるそうだし おやっさん 本部に支援要請だすから手伝って」
「よし 仁科と勝元と横井と尾上は土嚢作り 可燃物は兎に角すべて運び出せ 栗林と船坂は全員に暗視装置を配れ」
伊丹と大場がそれぞれ指示を出す。
「あれが炎龍を撃退したっていう『茶色の人』たちかい?たった二十四人だぞ」
「そんだけ強いってことだろ?」
「おまけに魔導師とエルフの精霊使い エムロイの使徒様ときたもんだ!」
「危なくなったら「鉄の逸物」で助けてくれるさ」
「もう少しの辛抱だな」
「おい 茶色の人だ!」
「すみません 篝火や燃える物を片付けてください」
「もう夜になるのに明かりはいらないのかね」
「はい 大丈夫ですから」
日本軍とイタリカ市民は城壁に砂袋を積み重ねて機関銃を配置する。伊丹達が銃の準備をしている時に横からロゥリィが来た。
「ねぇイタミィ」
「んー?」
「どうして 敵のはずの帝国の姫様助けるのぉ?」
「街の人を守るためさ」
「本気で言ってるの?」
「そう言うことになっている筈だけど?」
伊丹は日章旗の手拭いを九八式鉄帽に巻こうとする。
「兜かして」
「お、スマン」
伊丹は鉄帽を外しロゥリィに巻いてもらう。
「理由が気になるか?(こっちの言葉がすんなり耳に入りだしたアゴ打ったせいか?)」
「エムロイ戦いの神、人を殺める事は否定しないわぁ。それだけ動機が重要なの偽りや欺きは魂を汚す事になるのよぉ」
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