「という訳で織斑君、クラス代表就任おめでとう~!!」
『おめでと~!』
パンパンっと小気味よい火薬の炸裂音と共にクラッカーが乱射されていく。クラッカーから飛び出す紙テープは其方此方に飛びながらパーティの開始の合図となった。食堂の壁にはデカデカと貼られている『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書かれた紙があるがそれを見るたびに一夏の心はずっしりと重くなっていく。元々やりたくなかったのだが、実力の差で決められた決定権故にやらざるを得なくなってしまった現実に胃が痛くなるような感覚を覚えている。
「いやぁこれでクラス対抗戦も盛り上がるよねぇ!同じクラスに男子がいてよかった!」
「本当本当!」
と喜びを露わにしている少女達を見ていると無理矢理にでも気持ちを起こさなければ行けないような気がしてならない。少しでも気を直そうとしているがどうも気乗りしないらしい。
「カミツレさん、どうぞ」
「ああ、悪いなセシリア」
一応クラス代表戦を戦った者としてセシリアとカミツレも参加はしているが純粋にジュースやお菓子を食べに来ているかのようで端のテーブルに座りながらちびちびと楽しんでいるようである。
「あ~あ……織斑君が代表か」
「あれアンタはいやなの?」
「そうじゃないけどさ、専用機持ってるけど私は杉山君が良かったのよ。あの時の試合凄い感動したもの。最後の瞬間までオルコットさんに喰らい付こうする獣みたいに鋭い目と諦めなかった姿勢!それで代表候補生に引き分けたんだよ?」
「あー分かる分かる、あの試合本当に凄かったもんねぇ」
一部の女子たちは一夏の話ではなくクラス代表戦のセシリア対カミツレの話へとシフトしていた。実際あの時の試合に感動したりカミツレに対する認識を改めたりする者はかなり多かった。同時に真耶の弟子であるという事も知れ渡っている、一見聞くと真耶の弟子というのはやや不安が出来るような感じがするがそれは普段の真耶しか知らないからの弊害であって実際の真耶は非常に強い。
「織斑君とは動きとかが全く違ったよね、既に決めてたって言うか」
「キレがあったよね。しかもISは打鉄をカスタムしただけって話だし」
「実は本当に凄い才能ある人なんじゃないの杉山君って」
ある意味それは合っているようで間違っている。あれは本当に既に決まっていたのである、セシリアの事を前調べした際にどのように対処するかを頭に入れた上で真耶との特訓に加えてもらったのであの動きが出来たのである為に自分の才能ではなく努力の結晶なのである。そしてこの試合の結果は各学年にも伝わっており波紋を呼んでいる。そのような事を皆が思っていると食堂に一人のテンションが高い生徒が入ってきた。
「はいは~い新聞部で~す!!話題の新入生、織斑 一夏君と杉山 カミツレ君に特別インタビューをしに来ましたー!あっこれ名刺ね」
「あっこれは如何も……えっと……かおる、かおるこ……?」
「アハハハッ違う違う、まゆずみって読むのよそれで。黛 薫子ね。うーん名前の部分もうちょっと大きくして読み易くした方が良いかもなぁ」
挨拶をしながらボイスレコーダーを取り出しながら無邪気な子供のような笑顔でそれを向けた。
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