ひだまりとひかげ
「加賀美さん、こんにちは」
放課後、そろそろ装者特権の免除もヤバくなって補講を受けた帰り、翼さんに余計な事を教えまくる例のあの子に遭遇した。
「ああ、小日向さんですか…………今日は一人で?」
「はい、響を待ってて」
「立花さん、私以上に補講あるって言ってましたしね……」
ルナアタック後、置いてけぼりを食らった私と違い事後処理の為にしばらく学校にこれなかった立花さんは事件前のも含めて補講が凄い量になってました。
そういえば小日向さんと知り合ったのもルナアタック後でしたね。
あの頃の小日向さんはまさに全てを失った様な感じでした、私以上の「虚無」を感じましたね。
それで結局一ヶ月ぐらいでもうこれはヤバそうだってなって司令に報告して立花さんと再会させましたが。
出会った当時は「陰キャを超えた虚無キャ」みたいなイメージでしたが、立花さんと再会した瞬間に「陽キャリア充」に変身してビビりましたよ、キャラ変わりすぎですよ。
人ってやっぱり「大切なモノ」を失うと誰しも「虚無」に包まれるんだと思った、それは闇とはまた違う。
闇はあくまで暗いだけのもの、虚無は本当になにもない、希望も絶望も感じないそんなものです。
本当に「死んでるように生きている」って感じでした。
私は闇ですけど、死んでる様には生きたくありません。
闇は闇なりに、影は影なりに生きたいと思うのです。
同時に私は陽キャのノリや空気にこそついていけないから避けていますけど、決して陽キャに不幸になって欲しいとも思いません。
陽キャは陽キャらしく、陰キャは陰キャらしく「好き」に生きればいいのです。
「……やっぱり、加賀美さんって変わった人よね……ラジオの時と普段で雰囲気が随分違うというか」
「当然ですよ、それは。素面で日の当たる場所に自分を曝け出すなんてとてもやってられませんよ」
「でもクリスや響はそれを望んでますよ」
「……二人とも勘違いしてるんですよ、私は好きで一人日陰にいるのに……」
「翼さんとは大丈夫なのにですか?」
あっそうだ。
「そうですよ、翼さんになんてもの教えてるんですか!!!あんなの他の人に見られたらスキャンダルですよ!?私も学校に来れなくなりますよ!」
「えっ……あれ翼さん本当にやったんですか!?」
「えっじゃありませんよ!!翼さんに顎クイだとか壁ドンだとか!!」
「……ごめんなさい」
翼さん、変な所で思い切りがいいから!本気で私を堕としに来てたし!
「とりあえず、翼さんにはですね、そういうヤバなのは教えないでくださいね!何故だか全部私相手に実行してくるんで!」
というか何で小日向さんそういう知識集めてるんだ?……ああ……そっかぁ。
「もし次やったら、やられた事、あなたに仕返しますからね、具体的には立花さんにやって貰いますから!あの人滅茶苦茶純真だからきっと私が唆せばごく普通に実行しますよ」
つまり小日向さんは「むっつり」だ。
「そ……それはぁ……ちょっと嬉しいけど……恥ずかし……」
顔を赤らめて逸らす小日向さん、やっぱりなぁ。
「あなたがやってるのはそういう事です!私もですね、翼さんの友…だち……ですけどそれ以前に一人のファンでもあるんです!本当に心臓がもたないんですよ!」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク