私の還る場所は
二課到着後、特別室で一夜を明かし。
今、拘束具を着せられ、面接室に私は居る。
対面には司令、後ろには黒服の方が二人。
「何故こうして拘束されているかはわかるな」
「……はい」
一時の怒りに任せイカロスを使った事、考え無しに飛び出した事。
「加賀美くんが思っている以上に事態は深刻だ、確かに君が行った事は「救助活動」であり、最善であったかもしれない。しかし、観客を安心させる為とは言っても名乗ったのは不味かった」
日本政府はシンフォギアそのものの情報は開示した、けれど装者に関しては別だ。
「すみません……」
「確かに大勢の人間を救った事は賞賛されるだろう、現に日本政府に感謝や賞賛の言葉が届いている。だが同時に君にとって本当にマズい事になった」
私にとってマズい事?
「君が、加賀美詩織が装者である事と同時に配信者「おりん」である事が世間に知られてしまった」
は?
なんで?
「……情報の出所は翼のファンだ、主要メディアは既にこれをニュースとして取り上げてしまった」
………あぁ……そっかぁ……。
「コラボラジオよくやってましたからね……声でバレましたか」
「現在、君のチャンネルの登録者数が凄まじい勢いで増えている」
「いっそ殺せ!?」
「そう言うと思って、この拘束をさせて貰った」
これは、本格的に終わりましたね……。
ちょっと好き勝手やったツケが回ってきたという奴ですか。
「いっそ殺してくださいよぉ……」
「更に君にとって悪いニュースがある」
「まだあるんですかぁ……?」
というかおりん身バレ+装者身バレ以外に何かありましたっけ?
「内閣が君に会見配信を求めている」
「は?なんでですか……」
「……賞賛と感謝と同時に君の安否を問うコメントが世界中から来ている」
「?なんでですか普通に公表すればいいだけじゃないですか?」
「……つい先程、政府は君を「特異災害対策機動部」の公式広報として使う事を決定した」
「え」
「君は否応が無く、表に立たなければならなくなったという事だ」
なんで……
なんで?
「政府の一部では最初から「戦力として使えない」君を「広告」として利用するという声があった、それが今回の件で正体を明かしてしまったが故にその声が再び上がり、高度な政治的判断でそれが採用されてしまった」
はぁ……確かに、そうですよね。
イカロスと融合した貴重な「検体」でこそあれど、私に払われているお金はそこそこの額になるし、ぶっちゃけると貴重なシンフォギアを一個無駄に遊ばせているようなもの。
使わない手はないといった所か。
「で、何時何処でやるんですか、配信」
「今日の正午、政府の公式チャンネルでやる事になった、配信機材は既に用意されている所だ」
……ダメですね、一時の怒りに任せて行動するのは。
「で、何を発信すれば?」
「記者会見の様なモノだ、現在まとめている最中ではあるが、寄せられている質問に答えていく形になる。他に質問はあるか?無ければ拘束を解いてすぐさま準備に向かってもらう事になるが」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク