ハーメルン
萌え声クソザコ装者の話【and after】
血を吐くホトトギス

 シンフォギアには「絶唱」という決戦機能が搭載されている、これは増幅したエネルギーをぶつける代わりに自分にも大きな負荷がかかる諸刃の剣、それを翼さんが使ってしまったという。

 そもそも何故、翼さんがその絶唱を使うに至ったかといえば完全聖遺物「ネフシュタンの鎧」、シンフォギアより強いらしい装備を着た少女によって「特別な装者」である立花さんが拉致されそうになり、彼女を救う為に使う事となったらしい。

 翼さんが重傷を負った事はショックだったが、同時に命を懸けて立花さんを守ろうとするくらいには翼さんは彼女の事を認められる様になっていたって事だ。最初の頃は「戦ってわからせたい」なんて物騒な事を言っていたぐらいだった、私の気苦労は無駄ではなかった様だ。

 ただこれは問題だ、装者を狙ってきた相手が居る、おまけに翼さんが重傷でしばらく戦えない。


 今居る装者は二人。

 つまりこれは……

「加賀美くん」

 おっちょうどいいところに司令がきたぞ~……赤紙(徴兵)かな?

「な、な、なんでしょうか」

「昨日の件はもう聞いているな」

「は……はい」

 これはまさか~?

「立花くんを狙った謎の少女が君を狙わないと限らない」

 その可能性は聞きとうなかったよ。

「だからしばらくの間、授業とデータ取りの代わりに自衛の為の力をつける為に特訓を受けてもらう。ちなみに立花くんも参加するぞ」

 ぐえーっ!!!立花さんまでいるのかよ!陽キャ二人に挟まれては死んでしまう!

「きゅ……給料はでますか……」

「ああ、そうだなそれはキチンと出るぞ」

「し……しかたありませんね、では……よろしくおねがいします……」


 その日から私の地獄の日々が始まった。


 何時もの様に学校に登校する、午前は授業、午後からは特訓。
 教師は風鳴司令、まずは走り込みから始まり、私は瀕死。
 次に体操、格闘戦の訓練、そして組み手に始まる実践編。
 立花さんに15回、司令に25回の計40回放り投げられて全身が悲鳴をあげる。
 そして再び走り込みで一日が終わる。

 満身創痍の私は這いずりながら帰宅し、家事をこなすとなんとかパソコンの前まで移動して配信を始める。

『本日からは予告通り「お歌」配信をお送りします』

 それでもリスナーを心配させたくない、というか吐き出さないと私が持たねぇ!ので30分だけ配信をする。

 そしてそれを終えると布団に倒れ泥の様に眠る。

 夢を見る事すら忘れ、日が昇ると共に目覚め、家事をする。


 これは、死ぬな?と一日目で確信した。

 二日目も同じように走り込みから始まり、走り込みに終わる、間に挟まるは地獄の様な訓練、私は一体何をしているのだろうか、私は誰だ、私とは何だ、自我が持たない。


 三日目、私は休んだ。


 四日目、死にそう。


 五日目、立花さんから悩みを相談された、親友に装者である事を隠していて、色々な誘いを断って特訓をしているせいかギクシャクし始めたそうだ。


 知るか!こちとら、生まれてこの方!友達がいないんだぞ!

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