それから一週間
剣魔祭が終わった時から、アルシナもレオネも一層頑張って特訓している。
アルシナなんか、前以上に頑張ってて実力もつけ始めている。
僕がレオネの方に教えてるときも一人で特訓したりするなど、以前と比べてもモチベーションがとてつもなく高まっている。
その影響を受けたのか、レオネもこれまで以上に頑張るようになっていた。
そして、剣魔祭から一週間ほど経った頃。
とある事情で実家に帰る人も増えた。
とある事情とは、もうすぐ聖法国ホルスと魔帝国ルツエニアの戦争が起こるからだ。
お互いがお互いを攻めたとして、戦争が始まるのだ。
名目上はどちらも間違ったことを言っていないのだが、どちらも信用できるものではない。
それに、どちらが正しいかなどはどうでもいいのだろう。
ただ、敵国を潰したいだけなのだから。
そしてこの都市は、あくまでも『学園都市』。
学園なので、生徒の半数以上が居なくなってしまったら当然機能停止してしまう。
店を経営しているような大人はともかく、市民の3/4は学生なのだし仕方ない。
その関係で学園も休校を設けた。
なので、それに乗じて実家が聖法国や魔帝国でなくとも帰国する生徒も出てきている。
僕たちとしては、より質の高い特訓というか、訓練ができるのでありがたいのだが。
それと、僕の存在が学園にバレた。
今更かよ、とも思うが、それでもその関係でアルシナが一度呼ばれたし間違いないだろう。
そのおかげで、学園長や一部の講師とも関わりを持てたためありがたいと思う。
また、彼らのおかげでアルシナやレオネに向いている訓練を作り出すことができた。
本当にありがたい限りだ。
『でも授業方針とかは変えれないよね』
「そうだな。これまでスキルを前提とした教育をしてきたからな……。それを突然変更したとして、それは生徒の混乱を招くだけ。良いこととは言えんしな」
今話しているのは今代学園長。
ミラクルム・ケル・マソウカという、立派なクシル貴族である。
とはいっても本人にそんな自覚はほとんど無さそうだが。
話題としては、以前僕が持ってきた『スキルを使用しない』ということ。
ミラクルムとそのことを話しながら、アルシナの強化に繋げていた。
「まぁ、スキルを使用しない戦い方という物自体は以前から分かっていたものではあるがな」
『そうなんだ』
「ああ、何しろ私もスキルを使用しない戦闘方法を使っているしな」
ああ、なるほど。
でも、それならやっぱり色々聞けそうだ。
「どのみち君はアルシナ君の強化をしたいのだろうし、手助けになれる範囲なら答えてやるさ」
『それはありがたいね』
ミラクルムはやけに僕に対して友好的だ。
ちなみにだが、神話級の魔物を目の前にして怖くないのか、という質問をこの女にするのは無意味だ。
どうやらこの女、神話級の魔物すらも単独討伐を成し遂げたことがあるらしい。
正真正銘の化け物じゃんか。
「とはいっても君ほどではないがな」
『当たり前のように思考を読むのやめてくれない?』
ミラクルムは念話スキルを魔法で再現できるらしく、それで相手の思考を読むことも可能なんだとか。
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