弾幕回避練習という名の八つ当たり
「さて、まずは貴様には回避の練習をしてもらおうか」
ミラクルムはそう言った後、僕にステータス低下魔法をかけてきた。
僕はやはり何となく嫌な予感がして聞いた。
まず僕のことを貴様って言ってる時点で嫌な予感しかしない。
『……えっと、何するつもり?』
恐る恐る聞く僕に、ミラクルムはとてもいい笑顔で言った。
「なに、私が放つ弾幕を避けるというだけだ」
あ、やばい。
一瞬そう思ったものの、今いる場所はよく分からない暗い空間。
逃げることはできなさそうだし、魔法で迎撃しようとして──
『え』
「魔法は封印しておいたぞ。すべて移動で回避してみせろ」
魔法は放てなかった。
そんな混乱する僕に対して、ミラクルムは相変わらずのいい笑顔で僕に言う。
そして逃げられない僕に向かって魔法が飛んでくる。
あ、でもステータス的にダメージは食らわなさそう。
「ああ、防御や抵抗も下げておいたからな。当たったら痛いぞ?」
甘い考えは通用しませんでしたごめんなさい。
そんな思考をしている間にも、僕に向かって魔法は向かってくる。
というかそろそろ本気でまずいのでは……。
一応今の姿は結構小さい。
具体的に言えば、人サイズ。
高さにして2m程度だから、本来の大きさの1/15。
ステータスも約1/15。
大体2000程度のステータスなので、本来ほど早く動けるわけでもない。
それに、今は耐久関係のデバフも掛かっているわけで。
当然この程度の魔法を食らうと結構痛い。
最大HPは減ってないから死にはしないけど、これ普通に危険なのでは!?
『やばいやばいやばい!』
「……プッ」
『笑うなぁ!?』
ミラクルムは相変わらず魔法を撃ち続けている。
撃たれる魔法はほぼすべてが威力が低く、死ぬようなものはない。
けど、時折混じってる高威力の魔法はまずい!
そして何故そこまでやるかなぁ!?
「貴様が私がようやく寝れると思ったところに来たからだろうが。アルシナ君にはああ言ったが、私もそろそろ寝たいし休みたいのだよ!」
あ、そこ?
それなら一瞬申し訳ないなと思ったけれど、魔法の雨でそんなことを考えている余裕はなくなった。
『ああぁぁあぁぁああぁ!?』
「あと2時間位続けるからな」
『それきついって!?』
そんな感じで、2時間ほど魔法の雨の回避をし続けたのだった。
ちなみにミラクルム曰く、立ち回り的なあまり意味は無いらしい。
解せぬ。
***
その頃。
「……貴方が僕に戦い方を教えてくれる人ですか?」
「おうともさ。お前に戦い方を教えるのは、この俺『剣聖』フレイル様だぜ」
アルシナも、立ち回りを教える教師と出会っていた。
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