ハーメルン
バカと無情の試召戦争
プロローグという名の問題文

?(ついに来た…運命の日…振り分け試験…。)

 俺はただひたすら、鉛筆を走らせる。

?(かなり難しいと噂されるだけあって、考えさせられる問題が多い。)

 しかし、その勢いは全く止まらない。

?(この調子なら……。)

 ただひたすらに、解答欄に答えを埋め続ける。

?(学年主席(Aクラス代表)は、ほぼ間違いなく俺だろう。)

 そう思い、この俺、双眼零次(そうがんれいじ)は、思わずニヤリと笑みを浮かべた。

零次(……だが問題は、Aクラスの奴らが、俺をどう思うかだ。去年の俺は、大きな問題こそ起こさないものの、成績はほとんど底辺に位置していたからな…。あの噂さえなけりゃ、そんなことしなくても済んだが……、今考えても、しょうがないことだ。)

 問題を解きつつ、そんなことを考えていると、

ガタン

 突然、俺より前の席にいるピンクの髪の生徒が倒れた。

?「ひ、姫路さん!」

 彼女の近くで試験を受けていた男子生徒が様子を確かめている。騒ぎは大きくなっている。

零次(アイツは確か……、Fクラスの吉井明久だったか。観察処分者であり、学園一の問題児。…それが周りの奴らの評価だな。)

 だが、俺は知っている。アイツが観察処分者になった裏で起こった、一つのエピソードを。

明久「ちょ、ちょっと先生!具合が悪くなって退席するだけで、それは酷いじゃないですか!」

零次(とりあえず、姫路とかいう、あの生徒のことは明久に任せるか。どうせアイツは、まともに解いたって、Fクラスになるのはほぼ確実だ。それよりも、まずは自分のことだ。途中退席者のことを心配して、俺の計画が破綻するのだけは御免だ。)

 その後は、特にハプニングもなく、振り分け試験の1日目が終了した。


・・・


零次(1日目、文系科目の試験が終わった。明日は理系科目。俺の得意科目で、確実に学年主席の座を手にする!)

?「れ~い~じ~く~ん~。試験の調子はどうでしたか~。」

零次「……。」

 後ろから俺を呼ぶ声がした。一瞬、足を止めたが、声の主を判断し、家に帰る道へと歩を進める。

?「ちょ、ちょっと~。無視は流石に酷くないかな~?」

 そう言いつつ、声の主は、俺との距離を変えずに追ってくる。

?「そういえば、今日は大変じゃなかった?途中退席者が出たって聞いたけど。」

零次「……。」

 俺は少し考えて、立ち止まった。

零次「………一つ聞こうか。その途中退席者の名前は?」

?「姫路。姫路瑞希さん。」

 俺の質問に、声の主、近衛秋希(このえあき)は即答した。

零次「……。」

秋希「おや?外れたかな?」

零次「正解だよ。………ハァ………。」

秋希「………心配かい?」

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