ハーメルン
バカと無情の試召戦争
小問10 αクラス、始動!

明久「えっと……ここだよね、近衛さんが言ってた場所って。」

 近衛さんから貰った地図を頼りに、昨日言われた場所にやってきたけど………………、目の前には、どこにでもありそうな一軒家があった。

明久「………………もしかして、ここ、近衛さんのお家?」

秋希「いや、違うけど。その想像力は他に活かせないの?」

 一言多いよ、って言いたいけど、ここで近衛さんの機嫌を損ねるのは良くない気がする。本当だったら、こんな面倒臭いことは無視して、ゲームをしていたいけど、そうしたら、結局近衛さんにどやされるのは目に見えてるし、下手したら、近衛さんが試召戦争に参加しなくなるなんてことも考えられる。そっちのほうがもっと嫌だ。

秋希「…………まあ、いいや。とりあえず……。」

?「(ガチャッ)………………そこで何をしている。」

 入ろうか。そう近衛さんが言おうとした瞬間扉が開いた。出てきたのは、近衛さんと身長がほとんど同じくらいの男。髪はボサボサで、たった今起きたばっかりみたいな表情で、僕らを睨みつけている。
 でも、僕はこの人と面識がある。去年、観察処分者になってから、よく関わるようになった、双眼零次だ。

秋希「ゴメン、零次。いろいろ準備とかで手間取ってた。」
 
零次「………………まあいい。で、明久。お前が、近衛の言っていた、強くなりたいっていう奴か?」

 近衛さん、一体どういう紹介の仕方をしたのさ。もしかして、試召戦争で勝つために、喧嘩の技術を学べってことなのかな?

零次「………明久。お前が俺を見て何を思っているかは、なんとなく分かるが、とりあえず、中に入ってくれ。たった今αクラスで勉強会を始めるところだったからな。」

明久「あ………………αクラス?」

 そんなクラス聞いたことないけど…………。けど今は、近衛さんも中に入ったことだし、僕もお邪魔させてもらおう、っと。


・・・


 αクラスの面々(+一名)が俺の家に集まり、各々自己紹介を終えた今、順調に勉強会は進んでいる。
 元々ここにいるメンバーは、近衛が連れてきた一名を除けば、全員Aクラスに入れる実力があるし、昨日新たに獲得した、俺を支持してくれる四人は、影山以外は皆、Aクラスの上位にいる奴らだ。これで勉強が捗らない訳がない。
 今日の勉強会では、2~3名のグループを作り、お互いに得意教科を他のメンバーに教えていくスタイルを取ってみた。
 αクラスのメンバーの得意分野は、近衛・久保・影山が文系で、佐藤はやや理系より。工藤と真倉は特に苦手と言えるべき教科はないが、工藤は保健体育が他と比べて突出している。
 そして、俺は理系なのだが、文系科目も特に苦手という訳ではない。というのも、近衛以外は誰も知らないだろうが、俺は、『1時間あれば、全ての科目で400点以上を確実に取ることができる』のだ。あの霧島でも達成できていない、『全科目腕輪持ち召喚獣』を俺は持っているという訳だ。
 この情報を基に、俺は今いるαクラス7名+明久を、『久保・佐藤・真倉』『工藤・影山』『俺・近衛・明久』にグループ分けした。

 そして俺達は、明久の現状を見るため、30分のテストを解かせたわけだが………………。

零次「……………………明久。」

明久「………………………………はい。」

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