ハーメルン
料理人と冒険者の二足鞋で征くワーカーホリックの天然ジゴロがオラリオに居るのは間違っているだろうか 「俺一応、鍛冶師なんだけど・・・・・・」
第10話 輝きをもう一度
あの日の後の事を私はよく覚えていない。
いつの間にか異国の地に来ていたから。どうやって家を、故郷を後にしたか今でも全く思い出せない。
だが、過去を振り返るなど、もうどうでもいい事だ。
私は罪人だ。私は贖罪の道を征かねばならない。陽と霞の二人の分まで多くを救わなければ。
それから私はただただ救い続けた。被害出すのが犯罪者であろうと、モンスターであろうと、思い上がった冒険者であろうと。
ダンジョンの恩恵を受けていないオラリオ以外のモンスターや冒険者は幸いレベルや強さが低いので、技が出来上がっている私でも駆け引き含めればなんとかなった。ただの犯罪者は語るまでもない。
しかしこの身は一つだけ、救い続けてどうにもならない事がある事も知った。それは割合だ。
救うべき対象が僅かならばいい。だが数が多ければ?全てを救おうとすると一割は必然的であり、二割三割と次々にこの両手から零れ落ちて行く。最悪四割五割と零れ落ちて行くこともあった。
だから私は割り切った。この身は罪人故に全てを救う義務があると最初に課したにもかかわらず、自分一人では限界があるから出来るだけ多くを救えれば良いと言う名の大義名分で自分を誤魔化した。
最初から一割二割を切り捨てる或いは諦める方向で救い上げようとすれば、今まで以上よりも上手く行った。
ならばと、大を生かす為に小を切り捨てるを全力で実行していった。
それからだ。私は効率よく確実に助けて行けるようになったのは。
助ける。救う。助ける、救う、助ける救う助ける救う助ける救う助ける救う助ける救う助ける救う助ける救う助ける救う――――。
ただ繰り返して行くが、それでも体への負担は徐々に蓄積されていき、しまいには各部位から悲鳴が上がるようになったがそれでも無視して体を動かし続けた。
そして私は着いたのだ。世界の中心、迷宮都市オラリオに。
意図したものでは無い。故郷を飛び出した時と同じく何時の間にか来ていた。
だが同時に体の限界も来た。無理し続けたツケが私を襲い、路地裏で倒れた。
――――ああ、此処が私の死地か。
身も心もズタボロ。奴の言う非業の死とはかけ離れているが、私に相応しい無様な末路。
そうして意識を失い死ぬだろうと思った直前、赤い髪の少女と金髪の女性が私を見下ろしている様に見えた。そして意識を今度こそ手放した。
―Interlude―
暖かな空気が覚醒の兆候として促していく。
「――――んぅ・・・?」
私は目を見開いた。そこに広がる景色は地獄では無く、簡素な部屋の空間。そこで私はベットの上で寝ていて事を把握した。
「此処は・・・・・・?」
「――――目覚めたのですね。フフ、良かったです」
私に声を掛けて来たのはブリュネットのロングヘアの美女。おっとりとした佇まいでありながら凛々しさを兼ね備え、ある一つ芯を軸とする麗しき方。それが私の第一印象だ。
と言うかこれ程の存在感を私は知っている。
「神・・・様・・・?」
「ええ、合っていますよ。神アストレアです。貴方のお名前を聞いても良いですか?」
「・・・・・・ゴジョウノ・・・輝夜・・・です」
「フフフ、良いお名前ですね」
そこへ、最低限の互いの自己紹介を終えたタイミングよく偶然にも赤毛のポニーテールの少女が入って来た。
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