ハーメルン
料理人と冒険者の二足鞋で征くワーカーホリックの天然ジゴロがオラリオに居るのは間違っているだろうか 「俺一応、鍛冶師なんだけど・・・・・・」
第11話 新たなる職場へ

 「フゥ」
 「どうかしたのですか」

 士郎を切っ掛けとした邂逅により、以前よりも交流が増えた神ヘファイトススと神アストレア。
 二柱は本日、たまたま空いた時間が重なったので少々遅めの昼食を共にしていた。
 ちなみにヘファイストスは単独で、アストレアはアリーゼ同伴である。

 「ごめんなさい、変なため息ついてしまって。大した問題じゃないから気にしないで」
 「そうは言っても・・・・・・また、彼・・・士郎の事ですか?」

 アストレアは最初こそ士郎の呼称を君付けしていたが、本人の好きに呼んでくれて構いませんと言う言葉と自分の眷族(子供)達と士郎の交流を見て、今では呼び捨てする様になった。

 「あら?分かる?実はそうなのよ。あの子ったらもぉ~」
 「・・・・・・」

 あくまでも自分はアストレア様の護衛だと言う事で御伴していたアリーゼだが、士郎の話題となったのでつい意識と耳を僅かにヘファイストスの言葉へと向けた。

 「あの子のダンジョンの到達階層数、31階層まで行ったのよ」
 「それはそれは・・・・・・1人でと言う事ですよね?」
 「ええ、また性懲りもなくね」
 「確かに危険ではありますが、もちろんお説教はしたのでしょう?」
 「え?してないわよ。折檻ならしたけれどね」
 「そ、そうですか」

 黒いオーラを携えて満面の笑顔で言ってきたヘファイストスに若干引くアストレア。それに心の中で合掌するアリーゼ。

 「ただ問題はこれで終わりじゃないのよ。あの子がさらに先に行かずに帰ってきた理由は何だと思う?」
 「それ以上は1人での探索が困難になって来たからでは無いんですか?」
 「いいえ。その時点で帰らないと鍛冶師としての仕事に支障をきたすから、ですって・・・」

 呆れた態度を隠そうともしないヘファイストス。アストレアは友神の言葉の含むところにあっと気づく。

 「逆に言えば、仕事に支障をきたさなければ、そのままさらに奥へと突き進んでいた事に呆れているのですか?」
 「・・・・・・そうなのよ。あの馬鹿・・・!」

 まるで吐き捨てるような言葉だったが、顔色はあまり良いとは言い難くて不安そうにもしている。

 「あの子を見てるとね。何だか生き急いでいるみたいに思えて()として心配になってしまうのよ」
 「ヘファイストス・・・」

 友神の心情を察して慰め様とする言葉を探すアストレアだが、どうやら見つけられずに悲しげな視線を送るだけにとどめてしまう。
 アリーゼはアストレアとは違い、士郎が生き急いでいると言う言葉に心を痛ませる。それが友人としてか、はたまた別の理由かは定かではないが。
 友神達の視線に気づいたヘファイストスは軽く謝る。

 「昼食時にする話題では無かったわね。うちの問題だから忘れて?」

 ヘファイストスはこうは言うが、矢張り友神として何とかできないかと悩むアストレア。
 それに二柱の神々の間に割って入る様にアリーゼが提案する。

 「でしたら私に任せてもらえませんか!」

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