第19話
『デクスター騎士団』全滅の冤罪回避の為に色々とアリバイ工作をしてきた。
その集大成がギルド職員に僕達のアリバイを明確に覚えさせる事だ、僕達は午後は二階層に居て一階層には居なかった。
こう思わせる事が出来ればテレポートした『デクスター騎士団』とは接触しなかった事になる。グリム子爵は分からないがデオドラ男爵は愛娘の恩人を探すだろう。
そして問合せ先は冒険者ギルドで、ギルドはバンクの出張所に聞くだろう。
すると彼は当日にバンクに入った冒険者パーティの中から該当しそうな連中を幾つか教える筈だ。
バンク攻略数日の僕達に疑いがかかるなんて自意識過剰かも知れないが、逆に怪しいと罰せられる可能性も有るから用心は必要だ。
実際に僕達はルーテシアとウィンディアを助けて身元も知られている。ウィンディアは別としてもルーテシアが周りを騙し続けられるかが疑問だ。
彼女は脳味噌筋肉と幼馴染みに評価される位に真っ直ぐな性格の娘だからな……
◇◇◇◇◇◇
「ハイポーションが2個、木の腕輪が7個、スタンダガー29本、耐魔のアミュレットが1個ですね。
今日も大漁ですね」
前の高レベルパーティの後だと凄いと思えないですが?カウンターの下にレアアイテムをしまったのを見てから、今度はノーマルアイテムを並べる。
「木の盾が10個にダガー28本ですね。では合計が……
先ずハイポーションは買取価格が1個銀貨5枚で2個ですから金貨1枚。
木の盾は買取価格が銀貨5枚で10個ですから金貨5枚。
木の腕輪は買取価格が金貨1枚銀貨5枚で7個ですから金貨10枚と銀貨5枚。
ダガーは買取価格が銅貨5枚で28本ですから金貨1枚と銀貨4枚。
スタンダガーは買取価格が銀貨7枚で29本ですから金貨20枚と銀貨3枚。
耐魔のアミュレットは買取価格が金貨1枚で1個ですから金貨1枚。
合計で金貨39枚と銀貨2枚になります、お確かめ下さい」
カウンターに並べられた硬貨を受け取り空間創造の中に放り込む。流石は魔法迷宮、一階層降りただけで稼ぎに差がでるな。
「確かに、有り難う御座います。それで先程の迷宮内で変わった事とはなんですか?気になるんですが……」
さり気なさを装いながら聞き返してみる。
回答によってはグリム子爵かデオドラ男爵のドチラが有利か分かるかも知れない。
「んー、内緒って訳じゃないんですがね。知ってます『デクスター騎士団』って?」
いきなり核心を直球で来たので少しだけ動揺した……
「ええ、僕も貴族の端くれですからグリム子爵の御子息率いるパーティの事は知ってますよ。
彼等が何か問題でも起こしましたか?昨日も帰り掛けにギルド派遣の冒険者達と揉めてましたね……」
疑われないように事実だけを話す。
「彼等が昼過ぎに全滅しました……」
思わず口を開けてポカンとしてしまう。『デクスター騎士団』は全滅した事になってるのか、彼女達は口封じされたのか?
驚くべき情報を淡々と語るギルド職員に、もしかしてパーティー全滅って珍しくないのかと錯覚してしまう。
「全滅?何で?いや全滅したって誰かが見てたんですか?
不味いですよ、あのパーティにはデオドラ男爵の御息女も居た筈だ。父上に知らせないと、バーナム伯爵の動きによっては……」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク