中間試験
私達は走っていた。
今日はテスト当日!!あんまりしたくなかったけど、効率度外視で一夜漬け!
……って、思ってたけど。
結果は、私含めて六人が寝坊。
ってか二乃、何であんたまで寝坊?
と言うわけで、私達は寝起きにもかかわらず全力疾走していた。遅刻はまずい。
「今……8時20分!は、走れば何とか間に合う距離……っ」
「皆んな遅いよー!」
「あんた達、車で通学してるんじゃ……」
「江端さんはお父さんの秘書だから」
「お父さん達が家にいたら良かったのにね」
「そ、そうだね……」
絶対ダメ!
あの人めちゃくちゃ怖いし!
でも、このまま走れば何とか……!
「やっぱメイクしたいわー」
「おばあちゃん、大丈夫?」
「お腹が空きましたぁ……」
あぁ、もう!
「コンビニ行くよ!二乃、メイクならトイレでしなさい!五月、そこで朝ごはん買って!三玖は……偉いけど、早くね!」
最近、学校の入り口に生徒指導の先生立ってるってのに。怖そうな先生だし、遅刻したらテストどころじゃないかも……。
「どれも美味しそう……」
「悩んでる余裕なんかないからね!」
「あなたは何にしますか?」
「は?いや、私は……ほら……」
「これくらい奢りますよ。何とは言いませんがご迷惑おかけしましたので」
………。
じゃ、遠慮なく選ばせてもらおう。
「どれにしよう……」
「迷いますね……」
「あんたたち!急いでるんじゃなかったの!?」
うーん、良いツッコミだ。
「……どーせなら、全部買っちゃう?」
「え?」
「だから……、………」
「ったく、どういうつもりよ五月……って」
一花達が、子供と話してる。おばあちゃんの次は子供かよ。
誰?その男の子。金髪とか、ヤンキーかよ。
「迷子みたい」
「ママと逸れちゃったのかな〜?」
急いでる……けど、放ってもおけないな……
「ボク〜。お姉さんたちにお話聞かせて?」
「I wanna meet my mommy……」
「………は、はろー」
しかも外国人かよ。
「……上杉。間に合ったとして、赤点回避なんてできると思ってるの?」
「………」
「言っとくけど、私はパパに真実をそのまま伝えるから。あの子達も頑張ってるみたいだけど……」
「頑張りは裏切らないよ。それは私が良く知ってる」
「?何のこと?」
「……何でもない。皆んな、その子は私が……」
「ちょっと待って。今、この子ホスピタルって言わなかった?」
「……!」
「む〜…。……did you go to the hospital with your mother?」
男の子がコクリと頷いた。
ーー通じた!
五つ子の中で一番英語が得意なのは、二乃。
だけど二乃だけじゃない、皆んなが全教科の成績を底上げしてる。
ちょっと、嬉しいかな。あの子達の成長を見るのは。
「無事、お母さんの元に届けられて良かったねー」
「良かった良かった。ところで、何か忘れてない?」
「え?……………ぁ」
時刻はただいま8時33分。
「タイムオーバー……。けど、まだ策は残ってる。四葉はもう学校に着いてるみたい。だから……ドッペルゲンガー作戦だよ!」
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