ハーメルン
異世界で 上前はねて 生きていく (詠み人知らず)
第11話 踊り子が 腰をふらずに コシ作る
でも不思議なことにマカロニみたいなののバリエーションばっかりで、ストレート麺のパスタがない。
あとあんまり茹でたりしないんだな、焼いたり揚げたりって感じなんだ。
そこで俺はこれ幸いと、麺のパスタ、つまりスパゲッティを作って振る舞う事に決めたのだった。
異世界知識チートで俺TSUEEEE展開がようやく俺にもやってきたぜ。
「まず生地を薄く伸ばす」
「伸ばすんですか?」
「この機械の棒と棒の間に挟んで、この車輪を左回りで回すんだ」
俺は形から入るタイプなんだ。
スパゲッティ作りのために、すでに鍛冶屋に特注でパスタマシーンを作らせていた。
生地を薄く伸ばすためのやつと、歯がついてて生地を麺にできるやつだ。
いくつも試作品を作らせたから高くついたが、俺は俺TSUEEEE展開のためなら金に糸目をつけんぞ。
ほんとはうちの家の料理人にやらせるつもりだったんだが……
自前でできるならそれに越したことはないから、まぁ謎な増員もラッキーだったんだろう。
……なんの成果もなく夜がきた。
昼前から始めた料理研究は細かな失敗が続き、スパゲッティの生地作りは晩飯の時間までに終わらなかった。
生地の練りが上手くいかなくてボソボソになってしまい、細切りする方のパスタマシーンを上手く通らないのだ。
だが、幾度もの失敗でコツを掴んだ二人は、次こそ生地作りを成功させられそうだ。
外には月が登り、魔導ランタンの光が部屋を照らしている。
使用人用の給湯室に業務用二口魔導コンロを持ち込んでやってるからいいが、厨房でやってたら料理人に邪険にされていただろうな。
もう眠そうな2人がフラフラ作業するのを横目で見ながら、俺は俺でソースの材料の用意をしていた。
俺が作ったことのあるパスタは、大学の学園祭で作ったペペロンチーノと、高校の調理実習で作ったカルボナーラだけだ。
もちろん高校の調理実習なんか覚えてるわけないから、メニューはペペロンチーノ一択。
ニンニクと鷹の爪、燻製肉、油、塩、お好みで胡椒だ。
「サワディ様、見てください、こんなに細くなりました!」
「凄いですあの機械!」
「うん」
二人の持ってきた麺を沸騰させていた水に入れ、肘を曲げて顔の横に持ってきた手を外に折り曲げてカッコよく塩を振る。
塩が腕を伝い、いい具合にパラパラになって鍋へと降り注いでいく。
「これ、ゆっくりかき混ぜておいて」
「わかりました」
大きな木のヘラでパスタをかき混ぜるシーリィの横で、フライパンに油と燻製肉とニンニクスライスを入れて火にかける。
ニンニクを揚げるように端に油を溜めてジリジリと加熱し、輪切りになった鷹の爪をパラリ。
匂いがしてきたらパスタの茹で汁を一振り。
粘ってニンニクを焦がすぐらいなら、まだ風味が弱いほうがましだ、異論は認める。
ソースが乳化し始めたらフォーク2本でパスタをすくい上げ、フライパンにうつして炒める。
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