ガングニールだとォッ⁉
ギャラルホルンが運営するモビルスーツの整備施設に仮面の男、ヴィダール……ガエリオは足を運んでいた。
数ヶ月前のモビルアーマーとの戦いで機体は両脚部と右肩ごと片腕を破壊されるという無残な有様になったもののガエリオ本人は打ち身程度以外の怪我を負っていなかった。その為あの事件の後始末に現場に出られないマクギリスの名代としてマクギリスのグレイズを借り受け応援部隊として駆けつけた地球外縁軌道統制統合艦隊の部隊を指揮し、破壊された街の消火活動や被害者の救助活動、そして撤去作業を行う多忙な日々を過ごしていた。
一通りの作業が終わった所で、機体の修復が終わったとの報告を聞いて直接機体を受け取りに来たのだ。
しかし、何か様子が可笑しい。遠目から見てそう感じるほどに、ヴィダールの愛機は変わり果てた姿になっていた。
『……なんだ、これは……?』
まず全体的なシルエットから形状が大きく変わっている。細身なシルエットだったかつてのガンダムヴィダールからは肩幅から変わっており、非常にマッシブな印象を抱かせる。
更に体型も足が長く、太い物に変わっており、それにあわせて腕部も相応に大型化していた。極めつけは背部に新造された一対の大型の推進機関だ。一見すればバエルのそれのように見えなくもないが、よくよく見てみるとどちらかといえばあのハシュマルの飛行ユニットに酷似しているように見えた。
唖然としているガエリオに対して、機体の整備を担当している整備員の一人が話しかけた。
「貴方がこの機体の搭乗者ですね?はじめまして、私の名前はイクノ。この機体の再生プロジェクトの主任を任されております」
『あ、ああ……専属パイロットのヴィダールだ。修復の終わった機体の受け取りに来たのだが……失礼、あまりにも機体の姿が変わっていた事で少し取り乱した。これは一体どういう事なのか説明してほしいのだが……』
「説明?もしや、詳細を聞かされてないのですか……?ああ、そういえばここ最近は例の事件の後始末で上も下も大忙しでしたからね。そのせいで情報伝達が上手く行って無かったか……ではまず、破壊された当時のガンダムヴィダールの状態から話しましょうか」
イクノは手にした端末から数ヶ月前……この機体を受け取った時のコンディションチェック表を表示した。
「あの怪物……MAハシュマルとの戦闘で、この機体は両脚部と右腕を肩から失っております。ここまではよろしいですね?」
『ああ、それで?』
「……申し上げにくいのですが、我々はあの機体の破損したフレーム部と完全に同じものを作り上げる事は不可能に近かったのです。何せ、あの機体はガンダムフレームですから……」
『……そう、か。それは仕方がない事だな』
なにせ、今の時代よりも技術の優れていた厄祭戦時代ですら72機しかロールアウト出来なかった機体だ。それをあれだけ派手に壊してしまったのだから無理のない話だとヴィダールは感じた。
「それでこの機体の修復をどうするか判断に悩んでいた所で、あるプロジェクトが立ち上がったんです。それが、この……」
イクノは端末を操作し、ある計画が書かれた資料の表紙を取り出した
「【第二期ガンダムフレーム生産計画】です」
『!? なっ……作れるのか?!いや、そもそもMS用のリアクターの生産拠点は今……』
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