ハーメルン
人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築
13話 旅立ちと苦難の始まり
オルガンの音色が教会に響く。
佐倉牧師と棺、それに喪主が礼拝堂に入場してきた。
葬儀参列者は、児童養護施設関係者や風華と縁のあった外国人信徒の方々が集まってくれた。
「イエスは言われた。わたしは、よみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は、死んでも生きるのです」
聖書の一節が佐倉牧師に朗読されていく。
賛美歌の斉唱が行われたあと、佐倉牧師の説教が始まった。
信徒であるシスター風実風華への弔辞・弔電が紹介され、オルガンの演奏と共に黙祷を捧げる。
「ぐすっ…ふう姉ちゃん…どうして…どうしてぇ……」
佐倉牧師が告別の祈りを捧げ、献花が始まっていく。
喪服姿の杏子が涙を零し、姉のように思えた人の遺体に生花を添える。
その手には、今となっては遺品となってしまった風華のリボンが握りしめられていた。
モモは幼すぎて風華が死んだ事が理解出来ず、葬儀には参列していない。
「……安らかに眠れ、風華」
尚紀は無表情のまま、風華の顔の横に生花を献花した。
最後に、遺族がいない風華の代わりに児童養護施設の職員が最後の挨拶を行い、葬儀は終わる。
火葬場に送られていく風華の棺を、尚紀は共についていくことはしなかったようだ。
「あれは外側の存在…。本当の風華の成れの果ては…俺のポケットの中にある」
グリーフシードが多くの人達の悲しみや慟哭の感情を吸収し、魔女に孵化しようとする。
「……こうするしか、ないよな」
彼は風華のグリーフシードを……飲み込んだ。
──俺の中で生き続けろ……風華。
────────────────────────────────
「ふ……風華ちゃん!?」
雪の降る日、風華の遺体を教会に持って帰った。
「俺…ガキだからさ…。こいつの遺体を…どうしてやったらいいか、分からない…」
「君は何も言わなくていい!!私が…私が全て手配する!自分を責めるんじゃない!!」
事件性があったため、警察への連絡や葬儀のための準備を佐倉牧師が進めてくれた。
「それで?遺体の第一発見者の君は…犯人らしき人物を見かけなかったと?」
「…ああ。俺が見つけた時には…この有様だったんだ……」
遺体の第一発見者として、警察から事情聴取が行われていく。
それでも、魔法少女に殺されたなどとは警察に話せるはずがない。
検察の検死で葬儀までには時間がかかってしまった。
風華の遺骨は、佐倉牧師の教会墓地にお墓が作られ収められることとなる。
「簡素な墓でも、風華がこの世界に生きた証としては十分だ…。お前を決して忘れない…」
その日から、彼にとっては空白とも言える一ヶ月の時間が流れていく。
教会の仕事も手がつかず、食事さえ行わずに毎日彼女の後ろに座り込む。
寒かろうが、雪が降ろうが、墓の後ろにただただ座り込み続けた。
守ることが出来なかった己の非力さと、運命を呪う事しか出来ない彼の姿があった。
「尚紀…ご飯食べないと……」
「………………」
「せめて、リンゴだけでも……」
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