ハーメルン
人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築
16話 歌舞伎町の便利屋
私立探偵事務所は近年増加傾向にある。
そのせいで需要よりも供給の方が大きくなり、仕事が無い探偵事務所も多い。
「今月は仕事が少ないな……。瑠偉も仕事が無い時は事務所にいないし……」
なので探偵業を続けていくには、副業とも言うべき収入源が必要な場合もあった。
「今月は仕方ない。俺は副業の続きでも始めるか」
書籍が所狭しと並ぶ本棚の裏に隠された部屋に、丈二の個人オフィスが存在する。
機械とモニターで埋め尽くされたその部屋に、仕事が無い時は入り浸った。
(あいつは何の副業をしているのか……いや、聞かない方が良い。知らない方が良い事もある)
探偵は情報を依頼人に売るのが仕事だが、これもその延長線上にあるものだと思われる。
「しょうがない。俺も帰って便利屋の副業を始めよう」
彼の住まいは東京都新宿区歌舞伎町2丁目のマンション18階。
これは彼の副業を行う上で近い場所だから選んだ物件。
彼は歌舞伎町において独自の副業を行う。
依頼があればどんな仕事も請け負う便利屋だ。
だが尚紀が専門としている業務は荒事専門。
歌舞伎町において裏の取引代行・暴力トラブルの仲裁・争い事の介入処理といった裏稼業を専門としていた。
その仕事を紹介してくれる仲介屋とも言うべき人物が歌舞伎町に存在している。
歌舞伎町にあるモダンでクラッシックな珈琲館と呼ばれる喫茶店に今、彼の姿があった。
「遅くなってすいません、尚紀さん」
「相変わらず忙しそうだな、シュウ」
やってきたのは歌舞伎町で有名なホストクラブのナンバーワンホスト。
名前は楓秀一と呼ばれ、歌舞伎町の顔役として様々な歌舞伎町の問題ごとにも取り組んでいる。
ホスト狂いの女性客に襲われ、刺殺されかけたところを助けた時に知り合えたようだ。
それ以来頼りにされ、彼の実力を見込んで様々なトラブルを処理して欲しいと頼まれだした。
それがこの便利屋稼業を始めたキッカケの記憶。
「忙しいのは嬉しいんですが、体が一つしかないのが残念です」
「時間が無いのなら、要件は手短に頼む」
注文していた珈琲を飲み干し、シュウと向かい合う。
便利屋としての日常が始まっていった。
────────────────────────────────
「歌舞伎町の闇医者がトラブルに巻き込まれて失踪した?」
「ええ……この街であの人を失うことは、大変な問題なんです」
歌舞伎町には一人の闇医者がいた。
駆け込んだ患者はどんな人間でも治療してくれる。
いわくつきの患者が相手でも決して警察や知事に報告を行う医師の届出義務を行わない存在。
「歌舞伎町には様々な人間たちがいます。その人間たちは、警察と関係を持つと非常に不味い立場の人間が大勢いる。そういう人々の駆け込み寺となっているのが闇医者なんです」
「そんな人物がいたのか……。確かにこの街に必要な存在のようだな」
「ホスト業界でも客に刺される事件はあるんですが……。事件を明るみにせず利用し、客を共依存関係に持ち込むホストも多い」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/8
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク