ハーメルン
この女神の居ない世界に祝福を
VSキャベツ(後)

「マジかよ‼︎」
遠くにいたキャベツ達は瞬く間にこちらに接近し、第一陣で疲弊した冒険者に激突し倒して行く。
「疲労した冒険者は避難しろ‼︎」
近くにいた誰かの掛け声に反応し、冒険者達は街に逃げて行き幾許の人数が残る。
その中にはクリス、ダクネスも含まれている。
「何だ、お前も残っていたのか」
ダクネスに目が合うと彼女から話しかけてくる。
「まあね、ここで逃げたらあいつに晩飯を奢らないといけないからな」
互いにキャベツを捌きながら会話を続ける。
ん?あいつの攻撃キャベツに当たってなく無いか?
スティールをかまし潜伏の状態で回収をしつつ彼女を観察すると、どうやら振った剣はキャベツに当たらずに空をきっている。
「えぇ…」
それ前衛として大丈夫なのかよ、人のこと言えないけど。
「そうなんだよね…ダクネス何故か攻撃系統のスキルを頑として取らないんだよね…」
あんぐり口を開けてると、またいつのまにかクリスが居た。
「大丈夫なのかよ!あんたの所の前衛⁉︎」
振り向きながら突っ込むと 、彼女はハハハ…と頬を掻きながら乾いた笑いをする。
「まあ、あれはあれでいい所があるんだよ」
どこに?と聞こうとしたが野暮なのでやめておこう、人のこと言えないしな。
「それにしてもいい感じだね!さっき教えたばかりなのに、私の教えた盗賊スキル使いこなしてる」
「おうよ!この調子で他のスキルも頼むな」
「えー、それは君の誠意次第かな?」
ハハハと今度は楽しそうに笑うと、少し離れたダクネスの所にキャベツが集まってたのでそちらに向かうと言いそちらに走っていった。
しかし俺と話していた事が災いしたのか彼女は潜伏スキルを使い忘れてしまい、飛来したキャベツが彼女の脇腹に激突した。
「…っ‼︎」
大きい打撃音とともに、彼女が横に吹っ飛び勢いそのままころがっていく。
「クリス‼︎」
潜伏スキルを使用しながらクリスに近寄る、幸い大事には至らなかったが打撲だらけだった。
「私は大丈夫だから君は逃げて…」
強がるクリスに追い打ちをかけるようにキャベツ達はこちらに向かって飛来する。
まずいと思いながら、腰にかけた剣を抜きキャベツにぶつけながら軌道を逸らす、キャベツの激突と共に手首にかなりの重さが掛かるが何とかなりそうだ。
「クソ‼︎埒があかない、てか何で切れねんだよ‼︎」
仲間の仇と言わんばかりに、手を休める事なくキャベツ達はこちらに向かってくる。
「君もしかして片手剣スキル取ってないでしょ、お礼に後で紹介してあげるよ」
声が掠れながら彼女はそう言いスティールでいくつかのキャベツを行動不能にしていく。
しかしそれも長くは続かずに、途中クリスはぐったりし、キャベツを弾いていた俺の剣は横から来たキャベツに弾かれる。
「よくぞ耐えたな、カズマと言ったか、私の友人を守ってくれた事に礼を言おう」
剣を失い、とうとう成す術を失った所にダクネスが俺達の前に現れ、キャベツの体当たりを一身に引き受ける。
「おいダクネス!ここはいいからお前は逃げろ」
注意喚起するが、彼女はそれを聞かずに立ち続ける。
「何を言っているんだ、お前は私の友を庇った!ならばお前達は私が守ろう‼︎」
彼女そう言いながらもキャベツの体当たりを受け続ける、攻撃を受ける度に自慢の鎧は剥がれ落ちやがては自分自身の肉体を犠牲にし、まさに肉の壁と言った所だろうか。

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