10 双子の兄姉
戦後対談を行ったDクラスからAクラスへと向かう。
……と、仰々しく表現してみたがDクラスもAクラスも新校舎にあり、階も同じなので1分もかからずに到着した。
扉を蹴破るのは……止めておくか。宣戦布告の時でいいな。
普通に引き戸を開けて中へ入る。
「ちぃーっす。失礼しまーす」
堂々と侵入した事で注目を浴びるが、特に気にすることなく目的の人物の下へと歩みを進める。
僕の家族である空凪光へと。
「よぅ。新しいクラスになって孤立してないか?」
「あ~、誰かと思ったらいきなり戦争で大暴れしてたアホじゃないの。
一応敵クラスだってのに、よくもまぁ堂々と顔を出せたものね」
「いやいや、同じ学舎で志を共にする同級生じゃないか」
「Fクラスは旧校舎だから同じ学舎という表現は微妙にズレてるわね」
「ナイスツッコミ! 拾ってくれなかったらどうしようかと思ったよ」
「はいはい。で、何のよう?」
「そりゃ勿論偵さ……いや~、お前の事が心配でなぁ。
お前みたいな天災がボッチになってたら可哀想だろ?
尤も、杞憂だったようだが」
「……あえて建前の方にコメントしておくわ。そんなの分かりきっていた事でしょうに」
現在は下校時刻を少々過ぎている。それでも光が教室に残っていたのは……学友と談笑していたからのようだ。
光を除く3人のうち2人は顔見知りだが……1名ほど初対面の相手が居るようだ。
「へぇ~。このヒトが例の弟くんなんだネ」
「……霧島と木下姉は分かるが、貴様は誰だ?」
「キサマって……聞いてた通り随分と個性的なヒトだね。
いや、見た目でじゅーぶん個性的だけど。
え~っと。それじゃあ自己紹介から。
ボクの名前は工藤愛子。昨年度の終わり頃にこっちに転校してきたんだ。
趣味は水泳と音楽鑑賞で、スリーサイズは上から78ー56ー79、
特技はパンチラで好きな食べ物はシュークリームだよ♪」
「ふむ、身長と体重は?」
「うわっ、その返しは初めて聞いたよ。
う~ん……ごめん。後でちょっと正確な値を測ってくるよ」
「ついでに血液型とRh型も調べておくといい」
「何のために!?」
「う~ん……輸血の為じゃないか?」
「何でわざわざ輸血を気をつけなきゃならないのさ!
あと自分の血液型くらいは流石に分かるよ!? A型のRh+だよ!」
「なるほど、良い事を聞いた」
「何する気!? 怖いよ!!」
何、怖がる事は無いさ。意味など無いからな。
「相っ変わらず規格外ね。あの愛子が完全に手玉に取られてるって」
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