嫉妬
「磯島さん!あの鬼達は一体だけでも下弦と同じかそれ以上の能力があります!二人でやりましょう!!」
「……いえ、まだやれます。さっきは油断した、次はない。救ってくれたことには礼を言います。あなたは下がってください」
(まだだ、今のは僕の慢心が生んだ隙をつかれた。次はない。)
そう大竹雫に返事をした瞬間、全身にぞくっと悪寒が走り嫌な汗が吹き出る。
その原因となっているのが大竹雫だと理解したのは彼女が喋り終えた後だった。
「………分かりました、好きにしてください。でも、磯島さんがやられると判断した時は無断で磯島さんを助けます」
「……あなたは……いえ、ありがとうございます」
大竹雫に自分が何を感じ取ったのかはわからない。
だが大竹雫から折角貰った機会を無駄にしようとも思えないし、それで良いのかと葛藤している自分がいた。
(…僕は、本当にこれでいいのか?)
その瞬間、豪っと音が聞こえ、振り返ると大竹雫が空へと吹き飛ばされるのが見えた。
咄嗟に名を叫ぶがあっという間に目視できない距離へと飛ばされるのを呆然と見送った後、鬼達がいたところから今までより数段上の威圧感を放つ声が聞こえた。
「逃げる者を迷わず頸を斬るとは、それはもう鬼畜の所業だ。柱よ」
その瞬間、いつのまにか周りにいた鬼の気配がいなくなっていることに気づく。
何が起こったと声がしたところを見ると、憎の文字を太鼓に書いた子供のような鬼から恐ろしい数の木の龍が迫ってくる瞬間だった。
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