七話
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今回の活動は校外でやることになりました。迷い猫の捜索。
私は依然として車椅子であるので遠出は出来ないけれどやれることをやっていきたいと思います。
「…っと。意外と車椅子って機敏に動くのね。ハンドルが軽いわ」
「夏凜ちゃんにやってもらうのってなんだか新鮮味を感じるよー。辛くない?」
「なんてことないわよこのぐらい。それよりこの辺なの?」
「そうだね…えっと。うん、東郷さんが作ってくれた地図だとこの辺だ」
「おっけー。ならさっそく探すわよ友奈!」
「おー!」
今日の活動は夏凜ちゃんと一緒に行動している。東郷さんは昨日仕上げた書類仕事が思いの外評価が良かったみたい。それで追加の仕事がきてしまったために部室で別に活動している。
流石に今の私では役に立てそうにないので他に何か出来ないかと風先輩に訊いてみたら、夏凜ちゃんの依頼のアシストという名目で割り振られました。
「嬉しそうね友奈。何かあった?」
夏凜ちゃんにそう訊ねられる。
「ふふ……いや、部室を出る前の東郷さんの慌てっぷりが今思い出したら面白くて」
「あ〜……私が友奈と行くって言ったら凄い剣幕で迫られたやつね。ほんと東郷は友奈関係になると見境なくなるというかなんというか」
「そうなんだ? へ〜嬉しいなぁ」
「東郷も東郷なら、友奈も友奈ってワケね……」
「???」
苦い顔をしながら夏凜ちゃんは私を見てため息をついた。何かマズイことでも言っちゃったかな…。話題を逸らした方がよさそう。
「でも私は夏凜ちゃんと一緒にこうして部活動出来て嬉しいよ。ネコさん早く見つかるように私も精一杯サポートするから!」
「ありがとう友奈。さて、ちゃちゃっと済ませちゃいましょ……って言ってもどう探したものか」
「あ! それならこれを見てほしいな夏凜ちゃん」
「なによ……パソコン?」
私は膝に置いていたノートパソコンを開いて夏凜ちゃんに見せる。
これは私が部室を出る前に東郷さんと一緒に即席だけど作ってみたもの。周辺地図に赤い点がいくつか点在していて私はこのうちの一つを指差す。
「これは依頼主さんの情報とかを元に東郷さんと私が予想を立ててみた分布図なんだけど……」
「え、これ友奈が作ったの!? あんたこんなこと出来たっけ??」
「うん? でもほとんど東郷さんがやってくれたんだけどね。でー、この赤い点がネコさんが現れそうなポイントになってるんだ。だからこの辺りを重点的に捜索すれば見つかる可能性は高いかも」
「はぁ〜……まさか友奈にそんな特技があったとはね」
「ぁ……おかしかったかな?」
夏凜ちゃんの反応が少しだけ違うことに気がつく。ちょっとやりすぎちゃったのかな。口を結んで俯いていると頭に手を乗せられた。
「いや、単純に驚いただけよ。私はそういうの得意じゃないからすっごい尊敬するわ。これならすぐに見つけられそうだし、助かるわ友奈」
「夏凜ちゃん……うん、こちらこそありがとう」
「まったく、なんで友奈が感謝するのよ」
「あはは。そうだね……んー♪」
「友奈の髪サラサラしてるわね」
「ほんと? でも東郷さんには負けちゃうけどね」
言いながら夏凜ちゃんは頭を撫でてくれる。
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