第五話 初戦闘②
既に【偽り写し記す万象】の発動条件は整っている
しかし、ただ闇雲に『報復』の能力を発動させても意味がない。相手は依然として空を飛んでいるのだから、今の自分の傷を相手に『写した』としてもそれでは落とすことはできないのだ―――――自分が『翼を引き裂かれる』的なダメージを受けていれば話は別だったが、あいにくと人間として生まれた身だ・・・というかこちらも空を飛べていればここまで追い込まれていない!「空を飛んでる奴はそれだけでほとんど最強」とは誰のセリフだったか・・・
こちらは左腕はほとんど動かず、移動は『できなくはない』というレベルだ。あいつに届く攻撃といったら右歯噛咬をぶん投げるくらいだが、ただ投げても当然躱されるか弾かれるだろう
しかし、今ならば真正面から相手のスキを作り出すことができる。目には目を歯には歯を!たっぷりと『報復』してやる!
一つ一つではダメならば組み合わせればいい!!
立ち上がり、全身を強化しながら右腕を引き絞る。それを見た奴はボロボロの俺を嘲る
「ふん、苦し紛れにその無様な剣でも投げつけるのか?そんなもので俺様をどうにか出来るとでも本気で思っているのか?どうやら頭の巡りまで下等だったようだな」
それを聞いた俺は痛みを我慢して如何にも自信があるかのような笑みを浮かべる
「そうでもないさ。お前にはこの神器の能力をまだ見せていなかったよな?いくぞ、この一撃は絶対に避けられない」
そう言いながら全身に怪しい青白い紋様を浮かび上がらせた
分かりやすいハッタリだがこれで相手が回避よりも迎撃を意識してくれたらいい。動く的に当てられる自信なんて持ち合わせていないからな・・・それに『【偽り写し記す万象】の一撃』を避けられないという所には嘘などないのだ。嘘をつくなら真実で騙すのが一番ってね!
「逆しまに死ね!【偽り写し記す万象】!!」
紋様を浮かび上がらせた俺と投げられた右歯噛咬を注視していた奴は突如として奔った右足と左肩の激痛に顔を歪ませ思わず動きが止まってしまう
特に左肩は穴が空いてるしな、アホみたいに痛いのは体感済みだ!
「ぐぅぅぅぅっ!!」
奴は痛みで呻いているが既に投げられた右歯噛咬はそのまま向かっていき、その額に深く突き刺さった
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク