居場所
「なんだこれ!センサー反応しろ!!」
高層マンションの扉の前で一人の不審者が扉を叩いている。
俺は、茂みからあいつの様子を確認している。何やってんだあいつ……。まさかだと思うが、オートロックの開け方知らないのか……。
「くそぉぉ!五つ子だけじゃなくお前も俺の邪魔をするのか!」
……やっぱり、あの様子だとオートロックの開け方知らないっぽいな。
知らなくても仕方ないか、上杉だしな……。
「なにやってるの?」
ビニール袋に飲み物と何か入っているものを持っている三玖が俺に近寄って来る。
「上杉の反応を楽しんでたんだ、面白かったからな」
上杉のことを後ろ指を指しながら、一生懸命笑いそうになっている自分を抑える。三玖の顔を見ると、上杉のことを何やってんだろ、あの人みたいな憐れんだ目で見ている。やっべ、マジで笑いそう……!とその後、「そろそろもういいか」と思い隠れていた俺達は上杉の前に現れる。
「お前なにしてんだ?」
笑いを必死に堪えるべく、上杉を見ないように横を向きながら言う。
「今時オートロックも知らないの」
「オ、オートロック……?知っているさ、勿論な」
……いや、絶対知らないだろお前。
知ってたらそんな恥ずかしそうに顔真っ赤になる訳ないだろ……。
「ほら、行くよ二人共。勉強教えてくれるんでしょ?」
上杉の顔を見ると、頬が緩み「頑張らなくちゃな……」と気合を入れている様子。俺も気合入れて行かないとな……。自分の顔を両手で叩きながら、扉に入って行くのであった。
「あっ、おはようございます~!」
三玖達の部屋に入り、リビングの方へと行くと三つ子達がリビングに居るのであった。最初に挨拶してきたのは、四葉だった。
「お前ら今日もしっかり勉強するぞ!」
四つ子が揃っていることに嬉しく思っていたのか、上杉もやる気を出している。この様子なら、今日は順調に進みそうだが二乃がいないと言うのがある意味怖いな。あいつ何を考えている……。
「準備万端ですっ!」
四葉は既にノートと教科書の準備をできており、準備万端のアピールをしている。やる気があるのはいいことだ。
「私も偶には見てようかなぁ……」
だらけている一花であったが、ソファーに座り始める。今日は無防備じゃなくて安心した……。
「私は此処で自習しているので勘違いしないでください」
ソファーから離れた位置に置いてある椅子に座り、上杉の方を見ないように喋る五月。
「そうか、よし今日もやるぞー!」
五つ子がやる気あると言うことに嬉しく思ったのか、上杉はモチベーションが更に高まり珍しく大きな声を上げている様子。だが、そんなものなどは続く訳がない。
「また懲りずに来たのアンタ達」
二階から高みの見物のように下の階の人間を見下ろす二乃。と言うより、どちらかと言うと滅茶苦茶悪い顔していると言うのが分かりやすいか。二乃がいることに若干イラつきそうになるが上杉はすぐに温厚に戻る。
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