晴れ晴れとした感情
閉じている瞼をパチパチと開ける……。天井を見ると、太陽の光みたいに電灯が眩しく俺を照らしてくる。くそっ、眩しいな……。腕で目を隠しながらも俺は周りを見る。
「起きたみたいですね」
周りを見ると、ソファーから立ち上がってきた赤髪の女子がいた。
この声は五月か。帰って来ていたのか……。ソファーから起き上がり、目を擦りながらも五月の方を見る。
「三玖や四葉が心配してましたよ。このまま起きなかったらどうしようかと」
本が頭にぶつかっただけだ。そこまで気にする必要はないってのに……。
時計を見ると既に、夜になっていた。かなりの時間、気絶していたようだ。それなら、三玖達が心配するのも無理もないか。
「アイツらには悪いことをしたな。五月も悪かったな……。見ててくれたんだろ」
申し訳ないように五月に言う。
五月からコップに入った水を受け取り、俺は一気に喉に水を通す。飲み物を長時間飲んでいなかった俺の喉は満足したかのようにして、潤っていた。
「いえ、私の方はお構いなく……」
「ただ二乃が……」
五月は二階を見て、とある部屋のドアを心配そうな表情で見つめている。
「二乃がどうしたんだ?」
「部屋には居ると思うんですけど、返事を返してくれなくて……」
そういうことか……。俺が二乃の奴を庇って倒れたんだからもしかしたら罪悪感で部屋に閉じこもってるのかもしれないが多分違うだろう。若干朦朧とするが立ち上がり頭を抑えながらも体の節々を動かす。体の方は大丈夫だな、頭はまだ少々痛いが動ける範囲内だ。
「二乃の部屋って何処だ?案内してもらってもいいか?」
頭を抑えながら、水を飲み終えテーブルに軽く置く。
「構いませんが……」
五月はあまり気は進まないようではあったが二階へと行き、二乃の部屋の前へ行くのであった。
「……」
二乃の部屋の前に辿り着いたが、返事はない。
「五月、部屋に戻っていてくれ」
五月は「分かりました」と言い部屋に戻って行った。二乃の部屋の前で深呼吸をし、二乃の部屋にノックしたのである。
「帰って」
何処か悲しく小さな声で言っているのが聞こえてくる。
そんな声を聞かされて、「はい、そうですか」と帰れる訳ないだろと思いながらも俺は再びノックする。
「帰ってって言ってるでしょ!」
何かを投げてきたような物音が聞こえてきた。
その後、涙を啜るような音が聞こえてくる。二乃の奴、今自分がどうしたらいいのか分からないんだろうな。
「出て来いよ、俺に言いたい事があるんだろ。外に来い」
二乃の部屋の前でゆっくりと座り込み、二乃に語り掛けるようにして話しかける。二乃は返事を返して来ない。だが、数分後……。
「外、行くんでしょ」
「ああ……」
俺と二乃は何も話さず、オートロックの玄関の前までやって来てそこで二人共座り込み、話を始めた。二乃は涙は流れてはいなかったが、まだ暗い表情をしている。
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