集会の裏話 1
「え、リーフって…元…男じゃなかったん?」
緑髪の美少女は元男である。
そう認識していた転生者達は、その変わりように驚かざるを得なかった。
「はい、そうですそうです。元男ですよ。皆さんにも自己紹介の時にお伝えしたじゃないですかー」
忘れちゃったんですか? と上目遣いで微笑む緑髪に、談話していた転生者の一人、藍髪の天使は苦笑を浮かべた。
――どう考えても男の仕草じゃないやん。どうなってんのや、コレ?
服装もそうだが、仕草や口調が記憶にある緑髪のものと大きく変わっていた。
藍髪天使が周りを見渡すと、同じく困惑しているリーゼントと犬頭の姿が目に映った。
――よかったわ。ウチの記憶違いじゃあらへんみたいやな。
ホッと息を吐いた藍髪天使は若干躊躇しながらも、その口をゆっくりと開き、切り出した。
「なぁ、異世界で何があったん? 以前はそんな口調じゃなかったやん」
「そうだな。もう少し男らしかった」
「よければ聞かせてくれないか?」
「そうですね……ええっと何から話せばいいのか」
三人の視線を同時に受けた緑髪は困ったように苦笑を浮かべると、何かを思い出すように目を閉じた。
◇
魔法使いに弟子入りし、正式な後継者となるため修行をつけてもらっていた頃のことだった。
「アンタ、そろそろ口調を変えな」
「変える必要があるんすかー?」
師匠である婆からそう言われ、緑髪は首を傾げた。
度々言われていることだが、何故口調を変えなければいけないのか。
緑髪には分かっていなかった。
そのことが伝わったのだろう。婆は頭を押さえて溜息。顔を顰めながら言った。
「何度も言ってるが、魔法使いになるってことは王宮に勤めるってことだよ」
「それが何すか?」
「そんな口調じゃ無礼だし、何より木端貴族共に侮られるって言ってるんだい。せめて敬語くらい使えるようにしときな。って前から言ってただろ?」
「あはは、バカにしないでくだせーよ。敬語くらい使えるですよ。ほら使えてるでしょです?」
「アンタ…まさか語尾にですを付ければ敬語になると思ってんのかい?」
「え、違うっすか?」
目を丸くし驚愕を露わにする緑髪。
演技には見えない仕草に婆は再度深い溜息を吐いた。
「……仕方ない。出来ればやりたくなかったんだが、アンタは一切覚えようとしないし」
「なんかイヤな予感が……」
「感謝しな。私が徹底的に扱いてあげるよ。ついでに女らしさも身につけさせてあげる」
「すっごくイヤな予感がするっす…」
◇
「――と言う深い深い理由がありまして。今の私になったわけです」
――いや深くないやん。
何故か、えへんと豊満な胸を張る緑髪に、藍髪天使はうんざりしたような表情を作った。
「そか、矯正されたんか…」
「まぁ正直大して変わってないと思いますけどね」
「それはない」
藍髪天使、リーゼント、犬頭は三人同時に否定の言葉を告げる。
「そうですか? ソラさんには『一番矯正しなきゃいけないところはそこじゃない』と言われましたから大して変わってないかと思いまして」
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