ハーメルン
理想の聖女? 残念、偽聖女でした!(旧題:偽聖女クソオブザイヤー)
第六話 ルート開拓
あ、これ夢だな。
最初に目を開いて、そう思った。
俺は気付けば、寝転がる前世(と言っていいんだろうか?)の俺を見下ろすようにして浮遊していた。
視界は霞がかっていて、水の中にいるように動きにくい。
俺がクソ偽聖女になってしまって気付けば十二年。そろそろどっちが本当の俺か分からなくなってきた。
もしかしたら最初からこっちが夢で、俺は最初からエルリーゼだったんじゃないかとすら思えてしまう。
ともかく、あの夢の続きが見られるならば俺が見るのは一つだ。
ネット上で『エルリーゼ』の評価がどうなっているのかを知りたい。前回は途中までしか見る事が出来なかったからな。
つーわけでまた前世の俺を動かす事にしようか。
まずはパソコンを開き、『永遠の散花』と入力。
しかし何故か薄い本を載せているサイトがいくつも表示された。
あ、やっべ。変換候補で『永遠の散花 同人誌 触手』で検索してたわ。
こんな変換候補が出る時点で俺が普段から何を見ているのかバレバレだな。性的嗜好バレるゥ!
ちなみに一押しはエテルナの触手責め系だ。
何て言うか……実は……清楚な女の子のさ……。
『触手フェチ』って……分かる?
穢しちゃいけない神聖な感じの子を触手がグッチョングッチョンと人間では絶対出来ない責め方をするだろ?
あれに興奮する!
つーわけで早速検索。向こうの俺にはないが、夢の中の俺ならばマイ・サンが存在するので久しぶりに男の儀式をするのもいいかなって。
で、お気に入りのサイトを早速開いたんだが……。
『エルリーゼ様VS触手』
!?
『エルリーゼ触手で危機一髪』
!?
『触手に転生した俺がエルリーゼ様に奉仕される本』
!?
サイトを開いて目に入ったのは、何か触手に囲まれてあられもない姿になっている金髪の美少女が描かれた表紙だった。
……。
………………。
……………………………。
――よし、俺は何も見なかった。
見てはならないものを見てしまった俺の性欲は一瞬で萎え、ページをそっ閉じした。
俺は何も見ていないし何も知らない。いいね?
少し寄り道があったが、今度こそ『エルリーゼ』の評判を調べるべく検索をしようとする。
だがふと、トップページに飾られた一つのニュースが目に留まった。
そこには『発売から四年越しの隠しルート発見!』と出ており、サムネイルに出ているのはどう見てもエルリーゼであった。
ただし、俺が知る本編の方ではなく、十四歳で成長を止めてしまった俺INの方のエルリーゼだ。
なんぞこれ、と思ってクリックする。
すると表示されたのは『永遠の散花』のRTA実況プレイ動画であった。
【生放送】永遠の散花RTA実況プレイその2【コメントあり】というタイトルで投稿されているそれは、物凄い再生数を誇っている。
生放送と書かれているが、この動画は十時間前に投稿されたものらしいので実際には生放送を録画してた誰かが再度UPしたものだろう。
いるんだよな。こういう無断で再うpするアホ。
ま、とりあえず見てみようか。
動画の内容はよくあるRTAだ。
このゲームを最速クリアする方法はとにかく誰とも会話せずにひたすら自主練をして時間を無駄に潰し続ける事である。
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/6
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク