第六話「ロウリア王国戦3」
第六話「ロウリア王国戦3」
ロウリア王国の大船団を助けようと近づいてくるワイバーンに向けて艦対空ミサイルが発射される。
「ミサイルとは遠距離から敵に向けて攻撃する兵器の事です。ミサイルには様々な種類があり今見えているのは空の敵を倒す為の者です」
「そ、空を……!それはどれくらいの命中率を?」
「迎撃でもされない限り百発百中に近いでしょう」
「ば、馬鹿な!?動き回るワイバーンすら落とせるというのですか!?」
「ワイバーンの速度は300以下でしたな?それなら楽に落とせるでしょう」
空の王者たるワイバーンを撃ち落とせる。それも楽に。ブルーアイはミサイルというものに恐怖しそれを扱うアルゼンチン帝国を化け物の様に感じていた。
「(ま、まさか古の魔法帝国……!)」
一瞬そんな考えが浮かぶも伝承とは違う部分もあり直ぐに否定するが魔法帝国と同等の力を持っていると考えていた。
「(……もしロウリア王国ではなくこの力がクワトイネに向けられたら……)」
ロウリア王国以上に何も出来ずにククワトイネ公国は滅ぶだろう。ブルーアイはアルゼンチン帝国が理知的で自分たちに矛を向けない事を祈るばかりであった。
そして発射された艦対空ミサイルは迫りくるワイバーンへと突き刺さる。ワイバーンは回避行動すら満足に取れずその数を減らしていった。中にはミサイルをかいくぐり接近を試みる者もいたが次弾で発射されたミサイルの前に炎の花を咲かせるだけであった。
その様子は削られていくロウリア王国大船団からも見え船員たちは絶望していた。無敵と思われたワイバーンを呆気なく落とす。それも自分たちへの砲撃の手を休めないままに。ここにきてロウリア王国は勝てないという事を悟るが既に手遅れだった。大船団も既に1000隻を下回っており今も凄まじい勢いで減っていた。
「……我々は、一体何を相手にしているというのだ……!」
シャークンは揺れる船上で茫然と見ていた。圧倒的な敵の暴力に大船団はなすすべなく蹂躙されていく。逃げようにも既に大分接近してしまっている。ここから逃げる事など出来ないだろう。近づこうにも近づく船に集中砲火を受けている。もう、どうにもならなかった。
「……全員船から飛び降りろ!このままでは船と共に沈んでしまうぞ!生き残った船にも伝えろ!」
シャークンは最後の決断を降す。シャークンの命令に従い船員は海へと飛び降りる。全員が飛び降りた事を確認し自らも飛び降りた。瞬間、シャークンの乗っていた船は爆発し沈んでいった。
ここにロウリア王国の大船団4400隻は全滅し海の底へと沈んでいった。船から飛び降りた事で生き残った者たちは廃材に掴まりながら陸へと向かっていく。中には鎧の重さで沈んでいく者もいた。シャークンは近くにあった大きめの廃材の上に乗り近くの者たちを助けていた。
「シャ、シャークン様!あれを……」
船員の言葉にシャークンが指さす方を見ると先ほどの艦隊が西へと向かっていく姿があった。どうやらこれ以上の追撃はしないようだ。
「まさか……、奴らの狙いは王都か!?」
あの艦隊が王都を攻撃すれば王都は灰燼と化すだろう。シャークンは更地になる王都を想像し冷や汗を流すのであった。
「一体どうなっているのだ!」
ロウリア王国王都ジンハークにてハーク・ロウリア34世は怒鳴る。東方征伐軍を起こしクワトイネ公国を併合するはずが東方征伐軍は全滅、大船団も通信が通じずワイバーンも全滅した可能性があった。更にはクワトイネ公国、クイラ王国両方の国境から敵が雪崩れ込んできていた。
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