ハーメルン
【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝
動画と、そして果し合い(Side ジン)
「――は?」
それを聞き、ジンは再度ロッキーの姿をちらと見た。
あの時の悪質ダイバーは、海賊風のいかつい男だ。
その一方で、目の前にいるのは人の好さそうな、大男……。
一見、両者は全く違うように思えたが、よく見ると体格や顔つきが共通し、若干の面影があった。
……そもそも、VRMMOというゲーム上、外見など多くはあてにならないが、確かに同一人物と考えても、不思議ではない。
「あまりジロジロ、見ないでくれたまえ。……照れるじゃないか」
ロッキーの言葉に、ハッと我に返るジン。
この男こそ、あの時自分とフウタを襲った悪質ダイバー。
……なら!
「――フウタ! そいつから離れろ!」
途端、ジンはロッキーから距離を置き、強い警戒を見せる。
フウタはその様子に、慌ててたしなめる。
「まぁまぁ、落ち着いてよ、ジンさん」
「落ち着けって? フウタこそ、この男が悪質ダイバーだって、言っていたじゃないか。なのにどうして仲良くなんてしていられるんだよ!?」
「その事もだけどさ、ロッキーさんは悪質ダイバーを、引退したみたいなんだ。
……話によると、上級ダイバーらしい男に、制裁を食らったって事でさ」
フウタの説明に、ようやくジンもいくらか落ち着いた。
……だが、いまだにロッキーに対しては、疑惑の目をむけていた。
ロッキーはその様子に、苦笑いをしながら肩をすくめる。
「ま、そう思うのも無理はない……か。
だが俺も、もう懲りて改心しているんだ。あの時の事は、この通り、謝るとも」
そんな事を彼は言うも、ジンはこう聞くことにした。
「本当かよ。また俺たちを騙すために、嘘をついているんじゃないか?」
「嘘じゃないさ。ご丁寧に、ちゃんとその動画もあるみたいだしな」
「……動画って? 一体どんなのだよ」
ロッキーの言う動画に、ジンは気になる様子を見せる。
するとフウタが――。
「その動画だったら、ほら。……多分これ、だと思うよ」
フウタはメニューを開き、ある動画の画面を出した。
ロッキーとジンは、その画面を覗き込む。
「――ああ! それだよそれ! 俺が言うのも何だが、わざわざ動画にするとは……よくやるものだぜ」
ロッキーはそんな事を言う一方、ジンもまた、興味を示す。
「GBNでは、こんな動画もあるのか。どれどれ、『キャプテンジオン』……だって?」
表示されている動画のタイトルには、ブルーいマントと赤いマスク、スーツを身に纏った、一昔前のアメコミヒーローチックな大男の姿がでかでかと載っていた。
フウタもこれには、反応に困る。
「ははは、いくらダイバールックは自由に弄れるとは言え、すごいな。
インパクトが凄いって言うか、ロッキーさんよりずっとガタイが良いんじゃないの?」
「凄いのがダイバールックだけなら……こっちも苦労がなかったんだがな。
このアメコミ男のガンプラも――また凄いの何の」
「ふーん。じゃあせっかくだから、ちょっと動画でも見てみようかな。
ジンさんも、気になるだろ?」
彼に話を振られたジンは、同意した。
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