ハーメルン
【完結】バディーライズ! ――ガンダムビルドダイバーズ外伝
冴えない一日(Side ジン)☆★

 GBN、荒野のフィールドにて、三機のMAが飛翔する。
 闇夜を照らす、仮想空間とは思えない程に綺麗な月に照らされる機体の姿は、三機とも改造されたガザシリーズのMA形態だ。
 元々『機動戦士ガンダムZZ』に登場する、MS、MA両形態への変形機構を持つ可変機。…………なのだが、やたら派手な塗装に、刺を生やしていたりなどと、やたら世紀末的もとい攻撃的な外見となっている。

《さてと、次はどんな真似をしようか?》 

《低レアのアイテムを初心者に高く売りつけて、コインの大儲け、なんてどう?》

《だが、ポイントも稼ぎたいぜ。ミッション中にでも、高レベルのプレイヤーを騙し討ちすれば、たんまり儲かるんじゃねぇか》

 やたら物騒な会話を行う、アバターの柄までもが悪い、ガザのパイロット達。
 どう見ても、ただ普通にゲームを楽しむダイバーとは、とても思えない。
 それもそのはず、彼らはGBN内で迷惑行為を繰り広げ、『ガザ三兄弟』で名の知られる悪質ダイバー達であったのだから。



 彼らはこれから行う悪事について、色々と話し合っていた。

《確かにポイントも悪くねぇ。ここらで一気に、稼ぎたいとも思っていたしな》
 
 その中でリーダー格と思われる――ここではダイバーAと呼ぶ――ダイバーが、もう一人のダイバーBの意見に同意する。
 だが三人目になる若干オネエ口調のダイバーCは、やや否定的な様子。
 
《だけど、最近だと微妙に警戒されてるじゃない? 他のプレイヤーも集まるミッションだと、不意打ちをするのも面倒でしょ》

 これにはダイバーAも唸る。

《確かに、それはそうだ。何しろ俺たち悪質ダイバーを狙う、ヒーロー気取りの奴もいるからな、そいつに目をつけられるのも少し不味い》



《なら、一機でいる所を、三機で襲うなんてどうだ? いくらレベルが高くても、俺たちのコンビネーションなら!》

《それでもそんなに都合よく、そんなダイバーが一人でいないわよ》

 それでも懲りずに高レベルのダイバーを狙う、ダイバーB。ダイバーCは乗り気ではないが、対してタイバーBには、まだ当てがあるらしく、ある事を話す。

《ところがどっこい、実はそれに打ってつけの相手がいるんだ。
 ……こんな噂を、聞いたことあるか。あちこちのディメンションを一人放浪し、何かを探して回っている凄腕のダイバーがいるって事を》

 この話についてダイバーCは知らない様子だが、ダイバーAには聞き覚えがあった。

《ああ、その話なら俺も知ってるぜ。何ならあの『アヴァロン』の一員として、第二次有志連合戦でも活躍していたって話だ》
 


 GBNにおいては、ダイバー同士の協力要素も存在し、それが部隊システム、『フォース』である。同じ目的を持ち、専用のミッションへ共に挑む、それこそフォースの醍醐味とも言えた。
 その中でもランキング一位のフォースこそ、『アヴァロン』でる。
 リーダーを務めるのは、GBNチャンピオンであるクジョウ・キョウヤ。約二年前に起こったブレイクデカール、そしてELダイバーに関する事件に際して、ダイバー、フォースの連合軍となる『有志連合』を組織し、GBN全てを巻き込んだ第一次、第二次有志連合戦は、今でもダイバー達の間で語り草となっていた。

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