ハーメルン
アラサーがVTuberになった話。
12話  収益化記念配信 時々雨

5月×日
 活動をはじめて1.5ヶ月。遂にと言うか、ようやく収益化に漕ぎ着けた。後輩は僅か1週間で通った道なのだから先輩として立つ瀬がない。「どの面下げて先輩面してんねん」とか思われそう。私と登録者一桁違うし。とは言え、リアルイベントやら柊先輩とのコラボで露出が増えたおかげか、最近少し登録者が増えたのは嬉しい。上位陣からすれば雀の涙ほどであるのだが、私にとっては大きな数字である。

 最近柊先輩にお世話になりっぱなしだが、彼曰く「後輩の面倒見るのは先輩の仕事」とのこと。私もその辺しっかりしなくては……もう立派な後輩がいるんだし。まぁ、もうサポート必要なさそうなくらい立派になってるんだけれど。

「――と言うわけで収益化通ったわけなんですよ」

じゃあスパチャONにしろww

何のための審査だ、われぇ!

投 げ さ せ ろ <酢昆布>


「そのためだけの枠取るって何か集金っぽくて嫌じゃない? スパチャよりボイスを買ってとマジレスしてみる」

 スパチャ――スーパーチャット。つまるところ投げ銭。1日あたり5万円、1週間20万円の上限はあるものの、中にはサブアカウント作って大量に投げる層もいる。石油王かな? 単純に『応援したい人』『名前やコメントを呼んでもらいたい人』大雑把に分けるとこの二つが視聴者がスパチャする理由である。

 正直Vtuberの手元に入る割合的にはボイス収益の方が割が良い。

 ボイス販売は販売サイトへの5.6%の手数料が発生する。事務所のマージンがそこから50%弱。演者である我々の手元には売り上げの約50%が入る事になる。

 一方、スパチャはまず動画サイトが約3割持っていく。ここがデカい。そこから事務所が例によって半分程持っていくので、最終的に手元には3割程しか残らない。ちなみに投げる際某林檎端末を使うと、手数料が発生するので更に減る。数十万から三桁万円超える額を投げてもらうのならば話は別だろうが。正直に言うのであれば、私の場合はボイス販売の方がよっぽど金になる。

 事務所から必ずスパチャオンにしろという指示はないものの、稼ぎがなければ運営も成り立たないわけで。そういう意味では付けるべきなのだろう。私如きの配信にそれを貰うだけの価値があるのか、甚だ疑問ではあるが。それでも皆の期待には極力応えたい。

「ぽちっとな」

お、投げられる


    バーチャル労働基準監督署
    ¥100

労働基準監督署草

無言で投げる労基ww

労ww基ww


「おー、色着いてる。バーチャル労働基準監督署さんありがとございます。何か字面だけ見るとおかしくない? 労基からスパチャって」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/9

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析