第八話:転生地球人と転生TSサイヤ人が雌雄を決するまで
「少々の休憩をはさみましたが、ついに始まります、天下一武道会第二回戦!! 第5試合は、ソシルミ選手対プリカ選手です!」
近年稀に見る粒ぞろいの天下一武道会!
観客の興奮はここにきてピークに達し、アナウンスに呼応する観客たちの歓声はまるでライブ会場のように高まっていた。
「よろしく、プリカ」
「ああ……ん?」
小麦色の肌に、赤茶けた短髪、黄色のシンプルな袈裟を片方はだけた、筋骨隆々、しかし容姿端麗の少年、ソシルミが合掌の礼を行う。
握手かと伸ばした手を遠慮がちにひっこめたのは、赤いジャージに、黒いボサついた髪、13歳にしては幼げな少女、プリカだ。
「なんだ、握手しておくか?」
「いらん」
プリカは少々気恥ずかしくなり、顔ごと目をそらした。
「確か、お二人は修行仲間だとか、仲がよろしいようですが、試合はまじめに行ってくださいね?」
「俺は、こいつと共にいた8ヶ月、この日だけを待って鍛錬に励んできた」
アナウンサーは、いらぬ詮索を恥じ、ソシルミに小さく謝罪をする。
いくらかの観客は選手たちの関係に感じるものがあったのか、ああだこうだとヤジを飛ばしたり、友人とあれは出来ているだのいないだのわあわあと騒ぎ始めた。
(いや、まさか……しかし、やつも色を知る歳、齢14の男女が一つ屋根の下修行に励むとなれば……いや、考えるべきは……)
「へえ! あいつらが一緒にきたえたなら、あんときよりもっとずっと強いってことか!」
「オレはもう体験済みだけどな……」
「あやつ、見込みのある武道家だと思っとったら、あんな歳でいい思いしおって……!」
……わあわあと言っているのは、観客だけではなかった。
「……さわがれるのはきらいだ」
ついでに、勘違いされるのも。
そうプリカは脳内で付け足したが、それを口にすることそのものが気恥ずかしかった。
「俺は、ヤツらが想像してるのよりずっと強くお前に焦がれてきたんだがな」
「あっそ」
プリカは少し頬を掻き、目を逸らしたが、すぐに眼を鋭く尖らせ、まっすぐソシルミを見つめなおす。
対するソシルミもまた、戦いの始まりの気配を、強く感じ取った。
これは単に、楽しむためのものでも、勝利を得るためのものでもない、これは……相手を見極めるための戦いになる。
互いに、そう確信していた。
「アナウンサー、そろそろ頼む」
「はい、それでは第5試合……はじめっ!!」
(そうだ、見極めるべきは、あやつらが如何なる仲か、ではない、自ら選んで8ヶ月も修行場を共にした戦友との間に、皮一枚、距離があるのか――――!)
銅鑼の音と共に、まるで両方から引きちぎれるギリギリの力で引っ張ったゴム紐のように、二人が激突する!
「カァァッッ!!」
「があぁ!!」
観客だけではない、多くの武道家にすら、一瞬、武舞台の中心が炸裂したように見えた。
「いいパワーだッ! 無駄もないじゃないかッッ!!」
「ぐが!! 教えたのは、おまえだっ!」
「どういたしましてッッ!!」
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