第十五話:転生地球人が転生TSサイヤ人の願いを知るまで
桃白白!!
『元の歴史』と呼ぶべきいくつかの歴史で、一度孫悟空を破りながらも結果的に敗北を喫する立場にあった最強の殺し屋!
その身体能力と体捌きは通常の達人を遥かに超えるレベルにあり、エネルギー技であるどどん波も容易に使いこなす猛者だ。
だが、警戒すべきは単純な戦闘能力ではない。
カリン塔での修行を終えた俺にとって、桃白白そのものの戦闘能力は格下と言うほかないが……、武道家として積み重ねてきたであろう数百年と、殺し屋としての20年の経験によって重ねられた『本気』は脅威に値する。
元から劣勢とあらば兵器の使用をためらわない桃白白が、状況から察するに、俺達の現在の実力を知った上で挑んできているのだ
その脅威度は計り知れないレベルに達している――――
「――――随分と暴れたな、ソシルミ、プリカ」
「ほとんどは我々ではありませんがね」
猛烈な圧を飛ばす桃白白に相対しながら、俺はちらりと、倒れたままのプリカに意識をやる。
プリカはまだ目覚めない……もしこのまま戦闘に巻き込めば、命は……!
「フン、……おぬしらには支払ってもらわねばならん」
「……!」
「殺し屋としての上客と信用の喪失、賠償金はしめて15億ゼニー、さらにそこの門弟二人の慰謝料、10億、25億ゼニー、耳を揃えて返せ」
「!?」
は!?
「……と、言いたいところだが、なに、そんなことを言いに来たのではないわ、ほれ、おまえが撒いた『保険』だ、見てみろ」
桃白白はホイポイカプセルをこちらに放る。
煙が晴れた地面に転がったのは、頭だった。
「こ、これは……」
サングラス、赤茶けた短髪、一文字に結ばれた口、咬筋(エラ)のはった輪郭、これはまさしく……!
「アーノルド・シュワルツネッ――――!」
「メタリックだ! メタリック軍曹!! そう書いてあった!! よいな!!!」
「あ、はい……」
メタリック軍曹。
レッドリボン軍の基地『マッスルタワー』に配備されていたロボット(人造人間と呼ぶべきか?)だ。
少なくとも元の歴史では、圧倒的な巨躯と人間を上回る頑健性で悟空に食い下がるも、かめはめ波であっけなく破壊されていた。
「おまえの言っていた通りだな、レッドリボン軍はこんなものを……」
桃白白はさらにもう一つホイポイカプセルを投げた。
すると、大量のターミネー……メタリック軍曹の生首が出現する。
「……わんさか作っておった、本部の残骸には新型の設計図もあったぞ? もう燃やしてしまったがな」
「お手が早い」
「くそまじめな武道少年がわざわざ小賢しい真似をしてまでやりたかったことを見定めたかったのよ」
「それで、ご満足頂けましたか?」
また小さく鼻を鳴らして、桃白白は答えた。
「全部じゃないがの、まあええわい、兄者には話を通しといたが、ノコノコ顔出したらぶっ殺されるかもしれんから気を付けとけ」
「……注意しておきます」
「うむ、わしはこのまぬけ二人を連れて帰る……ああそうそう、本気で殺し屋やる気なら面倒見るぞ、上納金はたんまりいただくがな」
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