ごえいぶたいのおしごと
朝の風が気持ちいい。第四艦隊として働き始めて早三日、私は護衛している船から離れ海上を走り回っていた。向かう先はこれから資源収集に向かう島、そこに居座る深海棲艦の排除が今の目的なのだ。
私を護衛に回すと言われた時はしまった糞提督だと正直ちょっと思ったんだけど、蓋を開けたらそんな事は全くなく、私が働いてる実感をストレスなく感じられる神采配だった。いやぁ疑っちゃったのすごい恥ずかしい。
そもそも霊的資源収集の護衛って何をするのか? 私はまずそこから勘違いしていたのである。私はてっきり回収部隊の乗った船の周りで索敵しつつ敵が来たら倒すとかそういう受動的なのを想像していたんだけれども、これが大間違いだった。
私の仕事はこっちにやってくる可能性のある敵、および目的地に存在している敵の全てを撃滅する事だったのだ。つまり滅茶苦茶能動的。サーチ&デストロイちゃんはここに居たよ。
しかし私一人だとさほど倒せないんじゃないかなって初日は思った。凄い思った。駄菓子菓子、ここは適性値最低一万越えと元精鋭部隊旗艦が同時に配属されたヤベー海域であったのを私は忘れていたのである。
収集部隊の人達にご挨拶していざ出航、と同時に提督から指示が来るわけですよ。曰く、先に出て敵部隊に応戦してた加賀さん達が対応しきれなかったはぐれを倒しに向かってくれと。その時点で私はまだ自分がする事をよく理解できてなかったんで船から離れるのが心配だったんだけど、とりあえず現場へ滑って行って、ささっと撃破。それで残りが居ないかソナーで確認するわけですよ。そしたら端の方にちょっとそれっぽいのが映ったんだけど、これ追ってくより船と合流した方がいいよなぁと思ってとりあえず報告上げたんですよ。そしたらじゃあそれ追って倒しといてくれと言われた訳ですね。
この時点でなんかおかしいんだけど、とりあえずまあ、そいつらはサクッと撃ち倒してもう居ないなと確認して船の所へ向かおうとしたんだよ。そしたら今度は船の方から連絡が入って、直掩機が深海棲艦見つけたから帰ってきてくれだそうで。おいおい結構遠いぞ間に合うのかこれって焦ったんだけど、そしたら提督ってば走っておkとか言い出すんですよ。え、いいんですか妖精さん潰れますよって、いや私も事前に説明されてなかった訳じゃないんだけど、出航数十分でやるとは思わなかったわけで。でも命令だから、妖精さん達に謝って海面を跳んで帰って船の上にね。そこでやったよね、妖精さんの総入れ替え。
いや、言われてみたら簡単な話だったんだよ。乗ってる妖精さんが潰れるなら次の妖精さん乗せればいいじゃないっていう。妖精さんって数的には結構居て、訓練所ですら私の艤装に無駄にいっぱい入ってたくらい余剰人員で溢れているのである。だったらその娘達に頑張ってもらいましょうっていうのが宮里提督の考えだった。私は妖精さんをどうにか生き残らせる方向で考えてたから目から鱗が溢れ出した。
もちろん入れ替える妖精さんを置いておける場所が無いと絶対に出来ないから攻め入る時なんかは使えない手なんだけど、行きはともかく拠点への帰りでは私の移動速度を最大限に発揮しても良くなった。必要なら負傷者を拠点まで運び出して、そこで妖精さんを交換しちゃえば私はそのまま前線に戻れたりもする。
問題は妖精さんへの負担が頭おかしいくらい大きい事なんだけど、これは宮里提督が妖精さんに頭を下げて了解を得たらしい。無効化無効化能力を供給できる人数が提督ごとに違うように、提督って人によって得意分野が違うらしいのだが、宮里提督の得意分野は妖精さんに好かれる事なんだそうな。よほどの無茶でも頭を下げて誠心誠意お願いすれば聞いてもらえるとか。私の全速力ってそんなに無茶なのか……
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