ハーメルン
ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする
12話 GとC、復活のフュージョン!
さて、この天才科学者であるこの儂、ドクターゲロは我が社の経営する病院の集中治療室の前で身長4メートル程の大男に肩をがっしりと掴まれていた。……キリンの獣人でも問題ないよう天井を高く設計した建築家は、素晴らしい仕事をしてくれたようだ。
「お願いだよ、先生! オラのかかぁを、サンを助けてけれ! 金なら城のお宝を全部やっても構わねぇ!」
頭が天井にぶつかりそうなこの大男の名は、牛魔王。亀仙人こと武天老師の二番目の弟子であり、孫悟空の妻となるチチの父親である。
なお、そのチチは牛魔王に背負われており、わんわんと泣いている。父親が大声を出しているからか、あるいは母親の危篤を感じ取っているのかもしてない。
そして、牛魔王が助けてほしいと言っている彼の妻は、当然集中治療室の中だ。
原作では牛魔王の妻はチチを出産した数か月後に病気で死亡している。だが、牛魔王に背負われているチチは、生まれて数か月の赤ん坊ではなく一歳から二歳ぐらいに見える。
何故こうなったのか、桃白白と話していた部屋からここに来るまでの間に把握した経緯を説明すると……牛魔王は病に倒れた妻を、急いで我が社が経営する病院に担ぎ込んだ。
ナメック星人の再生メカニズムやドクターウィローのバイオテクノロジーを応用した我が社の医科学は、現在地球一。それらの多くはけがの治療だが、当然病気の治療技術も進んでいる。……ブリーフが、儂が宇宙から持ち帰ったサイヤ人の宇宙船やスカウターの中にあったデータを参考に、メディカルポッドの再現を試みているから地球で二番目になる日も近いかもしれんが。
それはともかく、我が社の医療技術の高さを知っていた牛魔王は担当者の頬を金の延べ棒でぶん殴る勢いで金を積んで妻を入院させ、最新の治療を受けさせた。その甲斐あって彼の妻は一年以上持ちこたえていたのだが、完治させることはできず、ついに意識を失い危篤状態に陥ってしまった。
そこで焦った牛魔王は、丁度本社にいた儂を職員に呼ばせたのだった。
ちなみに、儂はこうして呼ばれるまで我が社の病院に牛魔王の妻……名前はサンというそうだ。多分、名前の由来はサーロインからではないだろうか?……が入院している事を知らなかった。
今は彼らが住んでいる涼景山が炎に包まれてフライパン山と呼ばれ、財宝目当てに近づく者を殺して回り恐れられる前だが、牛魔王はちょっとした有名人であるし……こんな個性的な姿と名前を聞いたら気が付くのは当たり前だ。だが、知っての通り儂は宇宙に行ったり、帰ったら研究所に籠ったり、そもそも経営は副社長に丸投げしているので、病院に自ら足を運ぶ事はまずない。
儂が病院にいなくても問題が無いよう、医療機器を操作するためのマニュアルを作成したのだから。
ただ、人造人間の素材になり得る者が入院しており、その患者の容態が我が社の提供する医療でもどうにもならない時は報告するよう病院のお手伝いロボットにはプログラムしてはいた。彼らはロボットなので、儂の意図を勝手に深読みして該当する患者の治療に手を抜くなどして故意に、「どうにもならない時」にしないので安心できる。
だが、今回はロボット故に儂に報告しなかったようだ。牛魔王の妻のサンは、武闘家ではないし、ここ一年は小康状態を維持していたから儂が指示した条件に当てはまらなかったのだ。
「落ち着いてください、牛魔王さん。医師もスタッフも、奥さんのために最善を尽くしています。ですが、このままでは奥さんの命は長くても数日でしょう」
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