ハーメルン
TIGHTROPE~Good luck with this worst encounter.
Episode 6 起動~Code Rainbow Vol.Ⅲ

 
 □□□機械仕掛けの騎士

 謎の機体の出現。
 それと共に表示されたログを、“風神”(アイオロス)改の管制官、狩野(かのう)エリアは呆然と見詰めていた。

「スレイマン卿……機械仕掛けの騎士? どういうことなの……」

 それは記憶の中にある単語だった。友達の羽澄ちゃんが夢中になっていたオンラインゲーム。そのタイトルと登場人物の名だ。薦められて触りだけプレイした自分も見た事がある、滅びゆく王国の最後の姫君――エレアノーラを護るただ一人の守護騎士――シオン=スレイマン。

(あのお姫様に、()()()は似ていた。そして――)これは個人的な思い込みに過ぎない。今まで思いもしなかったことだ。けれど騎士シオンと、()()()()()()()あの少年は何処と無く似ている。そしてあの子とわたしは、彼女も言っていたけれど鏡移しだ。……そこまで思いを巡らせてエリアは頬が紅潮するのを意識する。

(それってつまり、桂城さんと、わたしが? そんなの、有り得ないから……)慌てて場違いな妄想を頭から追い出す。所詮はゲーム中の他人の空似。それだからといって現実(リアル)とは無関係だ。

「エリア、どうかしたの?」
「な、なんでも……!」

 突然かぶりを振るエリアを怪訝に思ったのか、前席に座る機長の来栖(くるす)優奈(ゆな)の心配そうな声が聞こえた。エリアの胸に気マズさが過ぎる。うん。それは有り得ないし、有ったら駄目な奴だ。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/12

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析