ハーメルン
剣八の墓標
ドロップアウト


 呆けて動かない小僧を有無を言わせずに叩き出し、俺は部屋の戸を閉める。余計な荷物も増やしちまったもんだが、まあ支障にはならんだろうよ。

「…………ふぅ」

 そして、——ずらりと目の前に並んだ医療道具の数々に思わず顔を顰める。小山ほどもあるこれらをそのまま担いで行けるだけの薬籠に詰め込む作業が残っているのだ。

 くそったれ。俺に面倒事を持ち込んできやがるのはいつだってお前らだよ。

「こいつらが必要にならなきゃいいが。……頼むぜ、卯ノ花よ」

 その都度首を突っ込んじまう俺も俺だがな。








「て前ェや吼翔(くうとび)は瀞霊廷に残っていたが、十一番隊が数日前から遠征とやらに向かったってのは知ってるだろう」

 卯ノ花の奴、子供ができて少しは丸くなったかと思えば”これ”だからな。即座に考えを改めさせられる。今回もあいつのバカな思いつきか暇つぶしにしか見えなかったが……まあそりゃ置いといてだ。
 輔忌の腕を引っ掴みながら超速の瞬歩で駆け抜ける。途切れ途切れにうつろう視界、景色がぶっ飛ぶように後方へと流れ過ぎていく。流魂街と瀞霊廷との境界はとっくに置き去りになっていた。

「よっと! ……こりゃついさっきの話だが、連中の一人が帰ってきたんだよ。それも()()()()()()というふうだったがな」

「……それっ、て!」

 流石だな。
 いや、見込んで連れてきたが見込み以上だ。輔忌は俺に引っ張られながらとはいえ、尸魂界でも随一の瞬歩の速さに体勢を崩さず、俺の荷物にはならんようにと自分の足で対応して付いてきている。そして滝のような汗を流しながらも何かに勘づいたように声を発した。

「“非常事態下”の緊急伝達!? 出向した隊が対応不可能な状況に陥った際のっ……」

「ああ……最低でも一人を寄越す。そういう決まりだ」

「でもっ……ただの隊士だけじゃない! 十一番隊の席官級だって大勢同行していましたし、()()()……!」

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